盗まれたダイソン戻る!犯人へとった対応は?ダイソンのドライヤー盗難に悩むホテル(続編)
先月、Yahoo!ニュース(個人)へ執筆・掲載した『ダイソンのドライヤー盗難に悩むホテル-本当はやりたくないんですが-』へはたくさんの声をお寄せいただき、Yahoo!ニュース個人月間MVAにも選出いただいた。
読者からの声は、“ドライヤーを盗むなんて信じられない”といった至極常識的なものが多数であった。他方、ホテル関係者からは備品盗難をはじめゲストの非常識な行動で困っているといった問題など、普段吐露できないであろう多くの連絡が寄せられた。
内、3軒のホテルからは記事テーマでもあったダイソンのドライヤー盗難に関する情報で、高級ドライヤーひとつとっても同様のケースが多いことに驚いたが、中には大浴場のパウダーコーナーでコンセント部分を隠す、すなわちコンセントを外せない仕様にしていたところ、当該箇所が破損され引きちぎったように持って行かれたというものもあった。
戻されたドライヤー
そのような連絡の中、前回の記事とは別のホテルからダイソンのドライヤーが返却されてきたという報告が。そのホテルもダイソンのドライヤーが盗難にあって困っていて、警察へ相談しようかと検討していたところだったというが、過日差出人ブランクで詫び状と共に戻されたという。
記事拡散の影響か否かは不明、残念ながら前回の記事で書いたホテルではなかったが、別のホテルとはいえ、盗難されたダイソンのドライヤーが返却されたという話に何となくホッとした気持ちになった。
そのホテルに犯人への対処について詳しい話を聞いてみると、当時の防犯カメラ映像も保存してあるといい、詫び状や戻された包みなどがあれば犯人に行き着く証拠になりそうだが「警察へ連絡するなどその人物へ行き着くための何らかの措置をするのですか?」と聞いてみた。すると「いえ、返却してくれました、詫びてくれました。もうノーサイド、お客様です。またお待ちしておりますと伝えたい」という。
ホテルと性善説
そういえば、ドラマHOTEL(TBS製作/石ノ森章太郎原作)のワンシーンを思い出した。ホテルで犯罪的な行為を行い、のちに正直に告白・謝罪したゲストに対し、高嶋政伸さん扮する主人公のホテルマン赤川一平が「警察へ突き出す!」といきりたっているところ、松方弘樹さん扮する藤堂マネージャーは「そうすればこの人の罪は明らかになる。でもそれでこの人の一生は終わることになる。君の判断に任せる」と伝える。
結局、一平は悔しがりつつも警察には連絡しなかった。藤堂マネージャーは「これでよかったんだ。ホテルは警察ではない。もしこれで犯罪者を出せば君のホテルマンとしての1ページが真っ黒になる。そしてお客様への不信が一生続くことになる」と一平に語った。
最後は、その客がホテルをチェックアウトし「ごめんなさい・・・ご迷惑をおかけしました」と出ていくところ、一平は「ありがとうございました!またお越し下さい!!」と元気に挨拶するシーンであった。その客の目にはうっすらと涙が・・・
甘い!という声が聞こえてきそうだが、きっとその客が二度とホテルへ足を踏み入れられないだろうことは、ダイソン盗難被害のホテルもわかっている。もしかしたら内心は“二度と来てくれるな”という思いもあるのかもしれない。とはいえホテルがどこまでも人の善意や心に寄り添う最後の砦のようにも思える出来事であった。
* * *
一方、他のドライヤー盗難ホテルからは、警察の協力のもと犯人に行き着いたリアリティある話も寄せられ、詳細に経緯が記されたメモの提供も受けつつ、現在事実確認も含め取材中であり近々レポート出来る予定だ。また、大浴場から高級シャワーヘッドが盗難にあった話もあり、備品高級化の盗難事件発生の余波は水面下で広がっていることもよくわかった。
以上、前回の記事を拡散いだいた読者のみなさまへ改めての御礼と報告に代えさせていただく。