快進撃を続ける“打”のナショナルズが抱える不安要素
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今シーズンのナショナルズの打線は、ここまで間違いなくメジャー随一を誇っているだろう。
5月10日現在で、チーム打撃成績は両リーグを通じて、打率、打点、得点、長打率、安打数、二塁打数の各部門で1位に輝く他、本塁打数でも同2位と、圧倒的な成績を残している。
その中心にいるのがライアン・ジマーマン選手で、ここまで本塁打数こそ1位タイに並んでいるが、打率、打点では両リーグ単独1位で三冠王ペースで打ちまくっている。またジマーマン選手の陰に隠れがちだが、ブライス・ハーパー選手も開幕から好調を維持しており、まさに大砲2本柱で打線を牽引している状態だ。
その一方で、投手陣は決して盤石とは言い難い。ここまでのチーム防御率は4・22と両リーグ17位に留まっているのだ。これはMLB平均すら下回っている状態だ。
その理由は明白だ。マックス・シャーザー投手、ステフェン・ストラスバーグ投手、ジノ・ゴンザレス投手の先発3本柱が防御率2点台を維持している先発陣の防御率は同6位の3・62とまずまずの成績を残している一方で、開幕からクローザーを固定できず不安定な状態が続いている中継ぎ陣は防御率5・47で同28位と低迷しているのだ。
ここで面白いデータを紹介したい。過去10年間ワールドシリーズを制覇したチームのシーズン中のチーム打率とチーム防御率を調べてみると、チーム打率でMLB平均以下ながらワールドシリーズを制覇したチームは2010年のジャイアンツ、2008年のフィリーズの2チーム存在しているのだが、チーム防御率に関しては10チームすべてがMLB平均を上回っているのだ。
あくまで投打の一部門だけの比較だけなのですべてを解析することはできないとは思うが、だがシーズンを戦い終え、さらにポストシーズンを勝ち抜いていく上で、打撃力よりも安定した投手力が重要になってくる傾向だけは理解してもらえるだろう。
日本でも“打撃は水物”という表現が使われるように、対戦する投手の出来次第で成績は自ずと変わってしまうものだ。ましてやポストシーズンまで勝ち上がってきたチームともなれば、記述のデータ通り平均以上の投手力を揃えているのだから、シーズン中の打撃力を期待できるか不透明なのは一目瞭然だろう。
現在のナショナルズは、投手陣の低迷を打撃陣が完全にカバーできているる状況だといえる。しかし今後シーズンを戦い続け、さらにポストシーズンを迎えることを考えると、現在の中継ぎ陣ではあまりにリスクが大きすぎる。
ナショナルズが現在の成績を続ける限り、今年のトレード市場はかなり積極的に動いていくことになりそうだ。