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「アニソン・ゲームミュージックの聖地化を目指す」 1万点を超える商品を扱う専門店に行ってみた

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「ディスクユニオン アニソン・ゲームミュージックストア」の店内(※筆者撮影)

ディスクユニオンは、東京都新宿区にアニメとゲームのCD・レコード専門店「ディスクユニオン アニソン・ゲームミュージックストア」を7月24日にオープンした。

店内は、お世辞にも広いとは言えないが、新旧のアニメ・ゲームミュージックサントラがずらりと並び、取り扱う商品は常時1万点を超えるという。CDだけでなく、廃盤になって久しい懐かしのレコードやカセットテープに加え、アニメ・ゲームの関連書籍や雑貨なども販売しており、中古品の買い取りも行っている。

中古ソフト・ハードを扱うゲームショップは珍しくも何ともないが、アニソン・ゲームミュージックに特化したCD・レコード店は、今も昔も非常に珍しい。

8つの音楽ジャンルの専門店がある「ディスクユニオン新宿」のビル。「アニソン・ゲームミュージックストア」は1階にある(※筆者撮影。以下同)
8つの音楽ジャンルの専門店がある「ディスクユニオン新宿」のビル。「アニソン・ゲームミュージックストア」は1階にある(※筆者撮影。以下同)

新譜も中古も好セールスを記録

筆者が取材に伺った8月26日は「ゲームミュージック廃盤レコードセール」が開催され、開店前にスタッフが参加整理券を配布したうえで対象商品の販売を行っていた。

公私混同でたいへん恐縮だが、筆者も整理券の列に並び「お客さん」として買い物をさせていただいたが、CDが普及して以降、これほどまでに多くのゲームミュージックレコードが売られている店に入った記憶はなく、その品揃えには大いに驚かされた。

LPレコードのコーナー。発売当時、日本国内ではほとんど流通しなかった海外盤のレコードも販売されている
LPレコードのコーナー。発売当時、日本国内ではほとんど流通しなかった海外盤のレコードも販売されている

同店の佐藤真成チーフによると、新たに専門店を開いたのは「以前から、各店舗でアニメ・ゲームのコーナーは小さいながらも設けてはいたのですが、国内だけでなく海外のお客様からも商品についてのお問い合わせをよくいただいており、需要が高まっているなと感じましたので、もっと販売を強化してはどうかと考えたのがきっかけです」とのこと。

主な客層は20~40代の男性で、全体の約7割が男性、女性の割合は約3割で、女性客の比率は同社の他店舗に比べても高いそうだ。客全体の約4割が何と外国人で、新譜のLPレコードを買っていく若い客も少なからずいるというのだからこれまた驚きだ。

まだオープンして1か月ほどしか経っていないが、佐藤チーフによると新譜も中古品も順調に売れているとのこと。同店で現在、最も売れているゲームミュージックのアルバムは、自社レーベル「CASSETRON(カセットロン)」の新作「『飛龍の拳』サウンドトラック BOX Ⅰ」で、自社レーベル以外では「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」両シリーズ関連商品の人気が高いそうだ。

ディスクユニオンの自社レーベル「CASSETRON」のコーナー。最下段の左奥にある赤いパッケージが一番人気の「『飛龍の拳』サウンドトラック BOX Ⅰ」
ディスクユニオンの自社レーベル「CASSETRON」のコーナー。最下段の左奥にある赤いパッケージが一番人気の「『飛龍の拳』サウンドトラック BOX Ⅰ」

今やスマホが1台あれば、誰でも手軽にゲームミュージックをダウンロード購入できる時代になったが、佐藤チーフはダウンロード、またはサブスク配信をする業者と競合している実感は特にないという。

「アニメもゲームも、配信されていない曲がまだまだたくさんありますので、未配信の曲を聴きたい、あるいは現物のCDやレコードを手に入れたいという思いを、とても強く持つお客様が多い印象ですね」(佐藤チーフ)

ファン垂涎の超プレミア品も多数発売されている。写真の「スーパーマリオRPG」のアルバム(左)の販売価格は、何と14万9,300円!
ファン垂涎の超プレミア品も多数発売されている。写真の「スーパーマリオRPG」のアルバム(左)の販売価格は、何と14万9,300円!

アニソン・ゲームミュージックの「聖地」を目指す

客からの評判も総じて良いとのことで、佐藤チーフは「長年に渡り培った、ディスクユニオンならではの豊富な品揃えに自信があります。将来は当店が『アニソン・ゲームミュージックの聖地』になればいいな、と思っております。中古品の買い取りも現在強化中ですので、皆様のご来店をお待ちしております」と意気軒昂だ。

秋葉原でも中野でもなく、新宿の地に新たなゲームあるいはゲームミュージックファンの「聖地」が果たして誕生するのか? 今後も同店の動向には大いに注目したい。

(参考リンク)

・「ディスクユニオン アニソン・ゲームミュージックストア」のブログ

・「CASSETRON」レーベルの「X」アカウント

豊富な品揃えはまさに圧巻。赤いタグの棚はゲームミュージック、黄色いタグの棚にはアニソンのCDが陳列されている
豊富な品揃えはまさに圧巻。赤いタグの棚はゲームミュージック、黄色いタグの棚にはアニソンのCDが陳列されている

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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