フランス、業務時間外はメールチェック禁止:「オフラインになる権利」合法化
2017年1月1日から、フランスでは勤務時間外にメールのチェックをしなくてもよくなる。
業務時間外はメールのチェックは禁止「オフラインになる権利」
これは2016年5月に成立した「オフラインになる権利(つながらない権利、right to disconnect)」の法律で、従業員50人以上の企業は従業員が仕事のメールをチェック、送受信してはならない時間帯を明記する行動規範の策定が義務付けられるようになる。但し、違反した場合の罰則規定などは明らかにされていない。
2016年5月にフランスでは労働法が改正され、給与削減や従業員解雇が容易になり、フランス全土で労働者のデモが続いたが、この「オフラインになる権利(つながらない権利)」への異議はほとんどなく労働者に支持された。
フランスは週35時間(1日約7時間)の労働時間制限を2000年から実施しているが、携帯やスマホの普及によって、職場を離れてもメールのチェックをしている。ストレスの原因になっている人も多いとのことだが、業務時間に縛られないでフレックスに仕事をしている人で新たな法律が業務の足かせになってしまうことを懸念している人もいるようだ。
24時間スマホで縛られた生活から解放されるのか
日本でも業務時間外でもメールのチェックや返信などに追われている人も多いのではないだろうか。フランスでは労働者の30%以上が毎日業務時間外にオンラインで仕事をしていると報じられている。業務時間外のメールチェック禁止が制度化されたから、さぞかしフランス人は時間外もスマホに縛られているのかと思いきや、30%ということは10人に3人しか業務時間外にメールのチェックしていない。つまり時間外にメールをチェックしていない人の方が多いようだ。
公私をしっかりと分けるフランスよりも、日本の方がもっとたくさんの人が業務時間外でもスマホでメールをチェックして仕事をしているだろう。営業で外回りをしている人だけでなく多くの人が会社のメールをスマホでもチェックできるように設定し、朝起きたら「まずスマホでメールチェック」をしたり、仕事の連絡がLINEなどメッセンジャーで届く職場もある。既読になってしまい、無視できないので仕方ないから仕事の対応する人も多いだろう。会社から出てもメールが気になって、スマホを見てないと不安で仕方ない人が多い。むしろ会社のメールを外でもチェックできることに安心感を覚えている人も多い。まさに24時間スマホに縛られている。
日本でも業務時間外はメールチェックが禁止の「オフラインになる権利」が導入されたら、日本の労働者には受け入れられるだろうか。