2019年の新成人の6割強は「経済的余裕が無くて車を所有できない」
「若者の(自動)車離れ」が叫ばれる昨今、その若者自身は車にどのような所感を抱いているのか。新成人の人達の意見をソニー損害保険が2019年1月に発表した調査報告書「2019年 新成人のカーライフ意識調査」(※)から確認する。
昨今の「若者の車離れ」と呼ばれている状況に対し、若者自身の代表的な立場となる新成人にいくつかの質問を実施。それぞれに「とても当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」の5つの選択肢から自分の心境にもっとも近いものを選んでもらい、そのうち前者2つ、つまり「当てはまる」派の回答数をまとめた結果が次のグラフ。例えば「若者の車離れ」とは自分のことの項目では全体で33.6%なので、1/3超の新成人は「とても当てはまる」「やや当てはまる」のいずれかと答えている。掲載されている数字以外はすべて否定派では無く、「どちらとも言えない」も含まれていることに注意が必要。
新成人の限りでは「若者の車離れ」を自認している人は1/3強。微妙な値ではある。一方「車に興味がある」人は全体では5割近くだが、男性の方が高めの値を示している。自動車への必然性が高い立場にあることを考えれば、興味を示すのも当然。
注目すべきは「車所有の経済的余裕が無い」。こちらは6割強の同意率。購入時の初期投資コスト、各種維持費、そして車検代と定期的に多額の出費を求められるため、自動車の所有にはそれなりの経済的裏付けが求められる。その裏付け(に自信)が無い人が、新成人の6割強もいる実態は、自動車関係者は大いに認識しておくべき。
一方、車そのものの魅力に関する話だが、「所有はカッコイイ」「メーカーに若者向けの車を作ってほしい」との話は5割前後に留まっている。カッコよさは男性よりも女性の方が認識していること、男性はメーカーに若年層向けの車を女性と比べれば強く求めていないなど、興味深い動きも確認できよう。
自動車所有関連で常に言及される、経済的余裕に関する視点においては、今調査の限りでは(少なくとも今調査項目の始まった2011年以降では)大きな変化は無い。なお2019年では都市部・地方の区分における値が非公開のため、グラフでは空欄となっている。
少なくともこの数年では、経済的視点からの「若年層の自動車離れ」に変わりはなさそうだ。あえて言えばここ2、3年に限れば多少ながらも減っているように見える、ぐらいだろうか。
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※2019年 新成人のカーライフ意識調査
2018年11月16日から11月20日にかけて2019年の新成人男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。なお今件調査における「都市部」とは、市・区における人口ランキングの上位都市(1位から8位)である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市。それ以外はすべて「地方」。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。
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