10年強で販売金額は1/10に…たばこ自販機の台数と売り上げの推移
周辺環境の変化を受け、たばこ自動販売機は稼働台数だけでなく販売金額の面でも劇的な値動きを示している。はた目でも減少明らかなその実態を、自動販売機の業界団体である日本自動販売機工業会が毎年発表している、業界動向の報告書「自販機普及台数及び年間自販金額」から確認する。
直近年となる2016年では各種自販機のうちたばこ自販機は台数・自販金額共に前年から大きく減退している。
そこでたばこ自販機の実情をより詳しく確認するため、情報が取得できる2005年分以降について、たばこ自販機の台数と自販金額の推移をグラフ化したのが次の図。合わせて前年比も計算し、グラフにしておく。
まず何より驚くのは、10年ほど前の2005年時点ではたばこ自動販売機の自販金額が2兆円近い額だったこと。そしてたばこ離れの影響を受けて少しずつ額は減らしていたものの、2008年から2009年にかけて急落。これは複数のたばこ関連の記事で説明している通り、成人識別のためのカード「タスポ」の導入に伴い、技術的に対応できない機種の撤去が成されたことが主要因。
他方、台数そのものは減退一方だが、自販金額は2009年から2010年にかけて多少の持ち直しが見られる。これは2010年10月におけるたばこ価格の大幅値上げによるもの。たとえばマイルドセブン(今のメビウス)が1箱300円から410円に引き上げられている。
自販機台数も自販金額も減退の一方だが、前年比のグラフを見ると2008年から2009年の「タスポショック」、2010年の「ドラスティック値上げ」を経て、2012年以降は大よそ台数の減少率以上に自販金額が大きく減退している。たばこ自販機1台当たりの販売数が同じならば両者の減退率動向もほぼ一致するはずで(実際2005年から2007年まではその値動きを示している)、さらに小幅な値上げも何度か成されていることから、むしろ自販金額の方が減退率は穏やかなものになるはず。しかし実際には自販金額の方が減退率は大きく、ここ数年は下げ率において2倍前後の下げ幅を計上している。
これはひとえにたばこ自販機の台数の減少以上に、たばこ自販機の利用機会が減り、自販機で購入されなくなっていることが分かる(多分にスーパーやコンビニにシフトしている)。喫煙者のたばこ自販機離れ、との表現はあまりにも凡庸だが、まさにそのような状態となっている。
概算値として、単純に自販金額を普及台数で割った1台あたりの販売金額を算出すると、その推測が裏付けられる。
実際には設置場所により販売動向は大きく異なるのであくまでも概算でしかないが、たばこ自動販売機の実情がよく分かる値動きには違いない。
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