日本の平均寿命は男性80歳・女性86歳、でも今80歳の男性が寿命切れというわけではありません
厚生労働省は2013年7月25日、2012年分の簡易生命表の概況を発表した。この「生命表」とは、ある期間において死亡状況・環境が今後変化しないと仮定した時に、「各年齢の者が1年以内に死亡する確率(死亡率)」や「各年齢の人が平均して今後何年生きられるか(平均余命)」という期待値などを、指標(生命関数)によって表したもの。そして世間一般に言われている「平均寿命」とは、その年に生まれた人が(社会情勢などの変化が無い限り)何歳まで生きられるかを示したものである。
2012年の平均寿命は男性が79.9歳、女性は86.4歳。つまり2012年に生まれた男子は、社会情勢の変化がない限り、平均で80歳近くまで生きられるだろうということだ。女性ならば86歳過ぎまで生きられることになる。この平均寿命は社会インフラの整備や衛生状態の改善、医療保険技術の進歩、各方面の努力、そして突発性の高い事象への適応力の上昇により、逐次上昇。戦後は特に大きく伸びている。
誤解されがちなのが「平均余命」と「平均寿命」これを同一視してしまう人が結構いる。例えば2012年の平均寿命が男性79.9歳だからといって、「現在79歳の男性は、普通ならばこの1年以内に亡くなってしまうだろう」という意味ではない。79歳には79歳なりの「平均余命」が算出されており、この値が「79歳の人は普通ならばあと何年生きられるだろう」を意味する。
2012年における、シニア層の「平均余命」を5年区切りで記したのが次のグラフ。
例えば70歳女性の平均余命は19.45歳。現時点で70歳の女性は、普通に生きていればあと20年近く・90歳位までは生きられることになる。(グラフ上には無いが)上記の79歳男性ならば平均余命は9.05歳なので、平均であと10年近く・88歳までは生きられる計算になる。
世間一般の報道では「平均寿命」にばかりスポットライトが当てられるが、中堅層以降、特にシニアには「平均余命」の方が気になるはず。身近に勘違いをしている人も考えられるので、もしそのような事例に遭遇したら、事実の提示をお勧めしたい。
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