日本サッカーの暗黒時代への危機感、セルジオ越後「このままでは本当にW杯に出場できなくなる」
セルジオ越後氏は声を荒げた。準々決勝で北朝鮮に敗れ、4大会連続でU−20ワールドカップ出場を逃す形になったU−19代表に、アジア大会の準々決勝で韓国に敗れたU−21代表、アジア選手権準々決勝で韓国に敗れたU−16代表と、アンダー世代の日本代表がアジアの舞台で屈した敗北。同氏は日本サッカーの未来へ警鐘を鳴らす。
U−19日本代表がU−20ワールドカップの出場権を逃したことで、育成に関する議論が活発に行われている。この秋、U−21代表もアジア大会の準々決勝で韓国に破れ、U−16代表もアジア選手権準々決勝で、同じく韓国相手に負けてしまったね。
この世代でアジアのトップになることが最終目標ではないだろう。けれどこの世代でアジアを突破できないのは、やはり問題視しなければならない。
U−20W杯出場権に関して言えば、これで4大会連続で逃したことになる。その戦いぶり、やられ方を見ていると、同じ失敗を繰り返しているような気がしてならないね。協会は自分たちで定めた強化マニュアルに沿ってその指針を啓蒙し、選手を選抜しているわけだけど、その方向性を見直すべき時が来ていると思うね。
A代表の現状を見ていても、層の薄さ、下からの突き上げの弱さは明白だ。一生懸命世代交代を推し進めようとしているようだけど、抜擢される若手のパフォーマンスは国内親善試合レベルだ。そもそも、世代交代はお膳立てされるものではなく、自然になされるべきものだろう。トルシエ指揮下でワールドユース準優勝を成し遂げた選手たちはどうだったか。あの頃のような若手の息吹は、最近めっきり見られない。
日本人に合ったサッカーとはこうだ、こういう選手を伸ばすべきだ、という論理が、本当に正しいのかどうか。画一化されたマニュアルは本当に必要なのか。ハードに目を向けることで生まれる個性もあるのではないか。
このままでは本当にW杯に出場できなくなる時が来るよ。そうなった瞬間に、日本サッカーは暗黒時代に突入する。それほど脆い船であるという危機感を持って取り組まなければならない。この秋の収穫は宿題ばかりだね。
11月にホンジュラス戦、オーストラリア戦を控える日本代表。ここでまた“宿題”が増えるのか、アジアカップに向けて準備を進めるA代表の戦いにも注目したい。