衆院選の結果による日銀の金融政策正常化への影響
27日に投開票の衆院選は自民党が191、立憲民主党が148、日本維新の会が38、国民民主党が28、公明党が24、れいわ新選組が9、共産党が8、参政党が3、社民党1、諸派が3、無所属は12となった。
自民、公明両党は公示前の279議席から64減らし215議席だった。定数465の過半数(233)を割り込んだ(28日付日本経済新聞)。
これを受けて、日銀の金融政策正常化に影響はあるのか。
今後の政治の行方は不透明感が強い。与野党ともに新たな政権枠組みを探る展開となる。ただし、第一党が自民党であり、野党第一党は立憲民主党となっていることからも、アベノミクスのような政治的な圧力が掛かる可能性は低いとみている。
2012年12月の衆院選は、アベノミクスを掲げた自民党が勝利した。このため、日銀には強力な緩和策を行うようにと大きなプレッシャーが掛かった。さらに2013年3月、4月に日銀総裁と副総裁が任期満了となる。そこに送り込まれたのが、アベノミクス推進役が期待された黒田氏であった。
しかし、来年に掛けては3月に安達審議委員、6月に中村審議委員が任期を迎えるが、それによって勢力図に変化が起きることは考えづらい。
安達委員はリフレ派だったが、いまは正常化に理解を示す。むしろ中村審議委員の方がハト派的。後任がたとえ二人とも正常化に反対する人物であっても、勢力図に変化はない。というより、正常化に反対する人物が選ばれることのほうが考えづらい。
すでに物価は30か月連続で2%を超えており、円安も再び進んでいる。もし日銀の正常化がさらに遅れるとみなされると円安がさらに進み、さらなる物価上昇を招きかねない。
石破氏が続投となれば、日銀の独立性を脅かすことはしてこないであろう。また、立憲民主党の野田氏も日銀の正常化に理解を示していると思われる。立憲民主党が公約に日銀の2%の物価目標を「0%超」に見直すとしたことからもそれがうかがえる。
いずれにしても日銀は今後もそれなりの時間はかけるが、段階的に政策金利を引き上げる姿勢は維持しよう。10月30、31日の決定会合では見送りとなりそうだが、私自身の予想では12月の会合での0.25%の追加利上げがあるとみている。