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大阪府、交通事故防止のために「ポケモンGO」のスポット削除要請:「歩きスマホ」は危険がいっぱい

佐藤仁学術研究員・著述家
大阪府南警察署の一日警察署長を務めたAKB48チーム8の永野芹佳(C)AKS

大阪でどのくらい「ポケモンGO」が流行しているのか不明だが、大阪府が交通事故防止のために、交通量が多い府内の23路線の一部区間や186交差点で「ポケモンGO」ができないようにポケストップを解除するように要請したそうだ。下記のように産経ニュースが報じているので引用しておきたい。

「ポケモンGO、交通量多い道路はやめて」大阪府が運営会社に削除要請…府道など23路線一部区間と186交差点

スマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」をめぐり、大阪府と大阪、堺両市は14日、交通量が多い府内の道路などについて、アイテムが入手できる「ポケストップ」などの設定を解除するよう運営会社2社に文書で要請したと発表した。

要請したのは、交通量が1日4万台を超える府道など23路線の一部区間と、年間5件以上の人身事故が起きている「東天満」(大阪市北区)など186交差点。該当する場所でポケストップのほか、ゲーム内でキャラクター同士を戦わせる「ポケモンジム」の設定を解除し、ポケモンのキャラクターが出現しないような措置をとるよう求めた。

府の担当者は「『ながらスマホ』で府民、市民が交通事故に巻き込まれる危険性が高いと判断した」としている。

出典:産経WEST(2016年9月14日)

激増した大阪の交通事故、全国2位の交通事故死者数

たしかに「ポケモンGO」は屋外でやるゲームなので、スマホに夢中になっていて「歩きスマホ」での事故やトラブルが日本だけでなく世界中でも多発している。実際に交通事故なども発生している。また交通事故に巻き込まれる危険性もある。

大阪では2015年の都道府県別の交通事故死者数では、2014年よりも53人も多い196人だった。これは愛知県に次いで全国2位の交通事故死者数だ。そして2016年8月末でも大阪府では、既に98人の交通事故死者数がいる。大阪府によると、高齢者の死者数と高齢運転者事故による死者が増加しており、全体の約40%の78人が高齢者だそうだが、若者(16歳~24歳)の死亡も24人、前年比で18人増えたと報じられている。違反別では信号無視での死亡が前年比24人増の48人で、飲酒運転による死亡が3人増の9人だそうだ。

大阪府の月別死者数の経年推移(大阪府警より)
大阪府の月別死者数の経年推移(大阪府警より)
飲酒運転撲滅を訴えるAKB48チーム8の永野芹佳 「これで終わらずに、これからも飲酒運転の撲滅を広げていければと思います」(C)AKS
飲酒運転撲滅を訴えるAKB48チーム8の永野芹佳 「これで終わらずに、これからも飲酒運転の撲滅を広げていければと思います」(C)AKS

高齢者の交通事故や信号無視だけでなく、飲酒運転による交通事故死が昨年9人だった大阪では2016年7月末に、AKB48チーム8の大阪府代表の永野芹佳が、大阪府南警察署と大阪地区トヨタ販売店主催で行われた〈STOP!飲酒運転 夏の交通事故防止運動イベント〉に参加し、まだ未成年の永野芹佳が「私はまだお酒は飲めませんが、飲酒運転は絶対に許しません。大阪の街から飲酒運転をなくしましょう」と飲酒運転撲滅を訴えていた。また大阪地区トヨタ販売店が協賛している「STOP!飲酒運転 2万人アクション 飲酒運転撲滅キャンペーン」が掲げる「飲酒運転、しない、させない、許さない」にも署名し、イベント来場者にも署名運動への参加を呼びかけていた。

「歩きスマホ」は命がけでするものではない

交通量の多い交差点や道路で「ポケモンGO」が出来ないようになることで「ながらスマホ」は減少するのだろうか。運転手が運転中に「ポケモンGO」をやるのはそもそも犯罪なので、もってのほかだが、「歩きスマホ」をしている歩行者に対しては、少しは効果があるかもしれないが「ポケモンGO」をやらなくなるだけで、LINEやFacebook、他のゲームや動画、ニュースチェックなどに夢中になりながら、歩くだけだろう。

道路で「歩きスマホ」をしている人は車の運転手から見ると非常に危険で不安だ。「ポケモンGO」だけでなく「歩きスマホ」をしている人は自己中心的な思考に陥っているので『自分は絶対に大丈夫、スマホを見ているけど、ちゃんと周囲も見えている』と思い込んでいる。だが運転手の方から見ると「本当に車の存在に気付いているのだろうか、突然飛び出し来たりしないだろうか」と不安である。そして「歩きスマホ」では神経がスマホに集中しているので、危険を察しても咄嗟の判断と俊敏な行動ができない。つまり、突然目の前に車が現れてもパニックになってしまって、すぐに避けられずに事故に遭ってしまう。「歩きスマホ」は命をかけてまでやるものではない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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