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すとぷりがネットでもリアルでも「楽しい」を届けたい――「劇場版すとぷり はじまりの物語」インタビュー

宗像明将音楽評論家
すとぷり(筆者撮影)

2023年12月31日に放送された「第74回NHK紅白歌合戦」に初出場して話題を呼んだ2.5次元歌い手アイドルグループ・すとぷり。2024年7月19日には、彼らの初の映画「劇場版すとぷり はじまりの物語」が公開される。しかも、ブシロードムーブが配給を担当して全国300館以上で公開し、撮影は「東京リベンジャーズ」などで知られるライデンフィルムが手がけるなど、その規模も注目に値する。初の映画に込めた想いを、すとぷりの6人に聞いた。

――製作総指揮、企画プロデュースはななもり。さんですが、今回意識したのはどんなことでしたか?

ななもり。 映画というよりはアニメを作りたくて、いくつかご提案いただいたこともあったんです。ただ、アニメの製作委員会という仕組みがあることを知り、それについて調べて勉強する中でメリットとデメリットがあることを学びました。そして、ある程度自分でちゃんと出資したうえで、自分たちの意向が反映できるような形でないと難しいなと感じたんです。

ななもり。(筆者撮影)
ななもり。(筆者撮影)

――原作も自分たちで監修できるようにブシロードと組んだそうですね。

ななもり。 自分たちのグループの魅力を理解してもらえて、メンバーの想いや意向をちゃんと汲んでいただきながら制作をするためにはどうしたらいいか、ずっと悩んでいました。そんなとき、ブシロードの木谷(高明)社長に制作の仕方からチームの組成の仕方などを相談に乗っていただきました。その中で紹介していただいたのが、ライデンフィルムさんをはじめとした今回制作に関わってくださった皆様です。すとぷりとはどういう存在で、今どうしてそれが盛り上がって多くの方に喜んでいただけているのか、YouTuberさんやVTuberさんとの違いを説明するところから始まって、そのうえで「原作をこういうふうに彩っていきたいんです」と丁寧にお伝えして、制作を受けていただけました。アニメーションは、ライデンフィルムさんの部分もありますし、ライブパートはサンジゲンさんが作ってくれています。サンジゲンさんはブシロードさんが手がけてる「バンドリ!(BanG Dream!)」のライブシーンや3DCGの映像を作られている会社さんなんです。

――すとぷりは8周年を迎えましたが、振り返ってみていかがでしょうか?

莉犬 8周年って聞くとなんかすごくやってきた感じがするんですけど、気持ち的にはけっこうあっという間で。やっぱり毎日一生懸命過ごしてきたからこそ、「あ、もう8周年なんだ?」っていう気持ちもあるんです。だけど、いざ思い返してみたら、たしかにいっぱい楽しい思い出が詰まった8年だったなって思います。

莉犬(筆者撮影)
莉犬(筆者撮影)

ジェル こういうときって「あっという間に過ぎた」って表現をする方が多いと思うんですけど、振り返ると本当に小さいことからリスナーさんと一緒に新しい挑戦を行って、本当にいろんな思い出がたくさん思い浮かんでくるので、時間が過ぎるのは早いけど、それ以上にたくさん思い出があるなってすごく感じますね。

さとみ 一年一年を思い返したときに、毎年新しい挑戦だったり、変わりゆくものと変わらないものがあったりして、本当にあっという間の8年ではあったんですけども、毎年できることが増えてくる実感とともに、新しい僕たちを届けられて、映画もその結果のひとつだと思うんです。9年、10年、その先の未来も楽しみになるような、そんな8年間を歩いてきた気がします。

ころん 僕たちっていろんな新しいことに挑戦して、リスナーさんが求めてくれるものや「楽しい」をどんどんどんどん届けることを常に心がけているので、新しいことをやることが僕もすごく楽しくて。メンバーも「次は何に挑戦しよう?」と思っていたら、今回は映画ですし、すとぷりはリスナーさんに「楽しい」を届けるところが変わらないから、こうやって8周年を迎えられたんじゃないかなと思います。

るぅと 8周年本当に振り返ると本当にめちゃくちゃいろんなことをしていて。活動を始めた当初はリスナーさんは友達みたいな感覚だったんですけど、8年間走ってるともう家族みたいで、いないと不安になっちゃうんです。お友達を超えて家族になっちゃいました。

るぅと(筆者撮影)
るぅと(筆者撮影)

ななもり。 いろんなことに挑戦し続けながらリスナーさんのリクエストに応え続けてきた8年だったなとも思います。今って3年前、4年前、5年前にやりたかったことを全部できる状態になったんですけど、生配信や動画、SNSでの喜びや楽しさに我々も立ち返る瞬間もあって。これからの未来がどんなふうになっていくのか想像できないぐらい変わってきた8年間でもあったなと思います。1周、2周、3周回って、「やっぱりネットの活動だよね」って返ってきている感じもしますね。

――7月19日公開の映画『劇場版すとぷり はじまりの物語』は、全国の映画館300館以上で公開されます。すとぷりにとって映画化は夢や目標のようなものだったのでしょうか?

るぅと 映画のオープニング主題歌を書くことが僕にとっての夢のひとつでもあったので、夢の叶った瞬間でした。ただ、どういう曲にしようかなとかすごく悩んで。オープニングって、その映画の入口なんで、映画が始まったばかりの重要なときにどんなふうにワクワクしてもらえるかなと考えながら、サウンド感だったり歌詞だったりを、想いを込めて作らせていただきました。

ななもり。 僕は昔からアニメが大好きなので、いつかアニメを作りたいというのは、はるか昔から考えていたんです。それが、まさかすとぷりで、しかも自分が出演者という立場で叶えられるとは思っていなかったんです。メンバーの夢も叶えながら、自分もいつかチャレンジしてみたいと思っていたものに取り組めて、しかも最高のものを作れて。この過程も大変だったんですけど楽しかったですし、みなさんに届くのが今から楽しみでたまらないですね。本当に宝物です。

さとみ 20代前半の頃に声優になりたいって思って、5、6年ぐらい勉強して、事務所にもお世話になってたんですけど、難しいとこもたくさんあって。それで辞めて、ネットっていう自分が発信できる場所で表現をするようになったんです。それが、自分たちの映画を作って、声をあてる機会が来るなんて夢にも思ってなかったんで、「人生何があるかわかんない、勉強してよかった」っていう気持ちになりました。当時の自分が報われたような気がして、すごく嬉しい気持ちでいっぱいでした。

さとみ(筆者撮影)
さとみ(筆者撮影)

莉犬 もともと声優さんになりたくていろいろやっていたけど挫折することもあって、「だったらアニメに関わる生き方をしようか」って悩んだ時期もあったんです。だけど、いろいろありまして、それも全部挫折してすとぷりの活動を続けていくうちに、どちらの夢にも携われる、夢が叶った瞬間が来て、すごく不思議な気持ちと嬉しい気持ちがあります。ここまで来られたのはリスナーのみなさんのおかげだなっていう気持ちで、深い感謝を感じています。

ジェル 僕はもともと何かを作ることとかすごい好きで、個人の活動でもミニアニメを作る活動をしていて。映画は「作る」というジャンルの最高峰だと僕は思っているので、素晴らしいものに関われたことがまずとても嬉しいですし、試写会で映像を見たときは本当に嬉しかったです。携わることができた嬉しさが強かったですね。

ジェル(筆者撮影)
ジェル(筆者撮影)

ころん 僕はアニメにすごく詳しいわけではないんですけど、そういう意味では新しいことをやれてすごく嬉しかったです。これを機に違うことにも挑戦してみようかなって、ちょっと視界が明るくなったような気がしました。

――今回、声優として演じたわけですが、いかがでしたか?

ころん いろいろ録ったときに「これどうなるんだろうな? 楽しみだね」とか、メンバーとも一緒に話し合っていて、最終的に見たときに「本当にいい作品だな」って思って。もう感動で、最後のエンドロールに拍手をするぐらい素晴らしい作品でした。

ななもり。 ころんくんはじっと映画を見ることができないにもかかわらず、すとぷりのアニメは、ポップコーンを持って食べる手が止まってじっと見てたんです。「ころんくんが見れるなら、うん、当たったな!」と確信しました。

――自分たちの映画の試写でもポップコーンを食べちゃうんですか?

ころん なーくんが「いいよ」って言うんで。

莉犬 一番楽しめる状況を作ってたんだよね。

ななもり。 ころんくんが楽しめるなら「これは来たな!」と成功を確信しています。

――ななもり。さんの判断基準はそこなんですか(笑)。

一同 あはは!

ころん だからこそ、すとぷりのことを知らない子たちでも絶対に喜んでいただけるような作品なのかなってすごく思ってます。

ころん(筆者撮影)
ころん(筆者撮影)

――なるほど。ジェルさんは声優をやってみていかがでしたか?

ジェル すとぷりの映画って、フィクションなのか、僕たちのリアルをどれだけ入れ込んでるのか、その辺が最初すごく気になっていたんです。けど台本を読んでみたら、「自分たちがふだん全然これ言うな」とか「配信で言ってるな」みたいなセリフがすごくあって。もちろん演技として気合いを入れなきゃいけないセリフもあるんですけど、素敵な台本と内容だったので、本当に自然にリラックスして挑戦することができたなと思っていますね。

――すとぷりが主人公というなかでも、莉犬さんはメインと言ってもいいですね。

莉犬 そうですね。たくさんしゃべらせていただくことへのプレッシャーもありつつも、自分たちを演じるなかで、どれだけふだんの「らしさ」を込められるかも気にしたし、でもそのまんまだとアニメになるのかとか、演じ方の絶妙なグラデーションを気にしたんです。メンバーとしゃべるときに、ふだんの絡み方ってあるじゃないですか。るぅとくんとはゆったりしゃべるとか、ころんちゃんに「おい!」って言うとか、さとみくんには「やれやれ」みたいな感じを出すとか、そういうところを映画のなかでも出せるようにしました。ふだんの雰囲気をまとわせつつも、みんなの良さがより出るように、しゃべることにすごく心を込めました。

莉犬(筆者撮影)
莉犬(筆者撮影)

さとみ やっぱり僕としては、「こういう役をやって」って言われた方がすごくやりやすくて。

莉犬 やりやすいよね。

さとみ 自分たちを演じるっていうのが、今回一番難しくて、ふだん通りの自分たちをやりすぎても、アニメなので声が浮いちゃうっていう状況になるんで、ちょっとアニメっぽくやろう、ってグラデーションを調整しました。映画のなかでメンバーそれぞれと出会って仲良くなるんですが、結果的にもう一度すとぷりになったような経験で、時が違ってても、このメンバーとどこかで会ったら、たぶん何かをやってたんだろうなと発見しました。

さとみ(筆者撮影)
さとみ(筆者撮影)

ななもり。 資料では映画用にキャラ設定も作り込んでるんです。でも、実際に僕たちは生身の人間ですし、「これが本当にメンバーひとりひとりなんだ、これがななもり。なんだ」って気づく瞬間もあれば、声をあてて彩られていくなかで、僕たちに寄ってくることもあって、そのシンクロする瞬間がすごかったです。僕は声優は得意じゃないので、頑張らなきゃいけなかったんですけど、完成した映画を見たらしっくりきて、「これがすとぷりだな」と思ってびっくりしました。

るぅと 個人的には声をあてたりはちょっと苦手で、「難しいな」って思う部分が多くて。特に難しかったのが、実際にすとぷりの生放送で起きたことがストーリーに組み込まれてる部分で、すごく笑うシーンも演技として笑うことがすごく難しいなってアフレコをしていて思いました。

るぅと(筆者撮影)
るぅと(筆者撮影)

――映画の見どころを教えてください。

るぅと かっこいいシーンもあるし、かわいいシーンもあるし、面白いシーンもあるし、泣けるシーンもあるし、グッと感動するシーンもあるんです。感動するシーンは泣けるし、その結果がすごく好きで、そこに莉犬くんが深く関わってくるんで注目してほしいですね。すとぷりを知ってる子はもちろん、知らない子が見たとしても感動するような最高のシーンですので、ぜひ見てください。

ななもり。 ライブシーンと夏を感じられるシーンがあります。ライブの部分をめちゃくちゃこだわったので、マジで楽しみにしていてほしいです。夏を感じられるところも、すごく画角にこだわって作ったので、ぜひ見ていただきたいですね。

さとみ 最初に莉犬がメンバーと出会っていくんですけど、ころんと莉犬が出会うシーンがめっちゃ好きです。本当激推しなんすよ。実際に初めて見たときも、そのシーンでもうバーって感じるものがあって。そこに俺たちらしさを感じもするし、すごくいいシーンでしたね。なので、ころんの出現を待っててください。

莉犬 歌が流れたときのきれいな映像のところが、自分たちの歌なんですけど「いいな」って聴いちゃって好きです。最後に「すとぷりっていいな」って思える場面があります。

ジェル 僕たちはイラストで活動してることが多いし、MVもイラストを動かして演出することが多いけど、そんな僕たちが実際に映像で動いてるっていうのが、まずめちゃくちゃ新鮮です。夏の明るい映像やライブシーンの持つ綺麗さやはつらつとした感じが本当にいいなとすごく思っていますね。

ジェル(筆者撮影)
ジェル(筆者撮影)

ころん 見どころがもう全部言われてしまったぐらいですね。

莉犬 好きなシーンは?

ころん どこかは言えないですけど、STPRのクリエイターの子たちももしかしたら出てくるかも?

ななもり。 どこかで出てくるかも……?

莉犬 出るやん、これ!(笑)

ころん 僕がさとみくんとじゃれあって、僕がいたずらしてさとみくんがブチギレてくるシーンもあります。

莉犬 かわいいよね。

ころん 仲間であり、お互いを高め合うライバル的な部分もすごく組み込んでいただいて、「さところ」らしさがすごい伝わるんじゃないかなと思うので、おすすめなところですね。

莉犬 ころちゃんのおもしろ顔シリーズ、いっぱいあるんですよ。ぜひ注目してほしいです。

ころん ふてくされてるところとか怒ってるところとか、全部僕なんで。でも、メンバーそれぞれの個性がすごく際立ってるんで、ぜひ見ていただきたいです。

ころん(筆者撮影)
ころん(筆者撮影)

――映画のエンディング主題歌「誓いの花束を~With You~」を収録したファースト・シングル『はじまりの物語』は、オリコン週間シングルランキング 1位、Billboard JAPAN "Top Singles Sales" 1位を記録しました。作詞・作曲・編曲はHoneyWorksですが、映画のイメージを話しながら制作したのでしょうか?

ななもり。 お話もしてますし、すごく僕たちを見ていただいていると思います。「今のすとぷりはこういうことを歌ったほうがいいんじゃないかな?」って、すごく寄り添って汲んでいただけてますし、映画の内容も含めて「今のすとぷりはこんなことをリスナーさんに歌うべきなんじゃないか?」っていう曲にしていただけたと思います。すとぷりはリスナーさんと一緒にいてこそのすとぷりなので、その全体を愛していただけているなって感じますね。

ななもり。(筆者撮影)
ななもり。(筆者撮影)

――『はじまりの物語』発売記念握手会も予定されていますね。ファンのみなさんへのメッセージを教えてください。

ななもり。 映画はもちろん、いろんなコラボレーションもめちゃくちゃ用意しているし、動画もめちゃくちゃ準備しているんですよ。ネットの活動もフルMAXであるので、楽しみにしてください。ネットもリアルも100点満点でベストを尽くして「楽しい」を届けるので、受け取ってくれると嬉しいです。

るぅと リアルも映画館もすとぷり、すとぷり、すとぷりにしていくので、「日常のどこかにすとぷりがいつもいるな」という楽しい気持ちになってもらいたいです。すとぷりだらけで最高の夏にしたいです。

ころん  起きたらるぅとくんが家にいるかもしれないね。もう現実にも現れてくるんじゃないか、っていうぐらいに僕たちもいっぱい時間を使ったので、いろいろ準備するものを期待してほしいですね。

ななもり。 街に出てもすとぷり、家にいてもネットですとぷり、っていうのは自信アリだよね。

莉犬 夏って、すとぷりの活動にとっても思い入れがある季節でして、「今年もすとぷりと過ごした最高の夏だったな」って思ってもらえるように、今現在も準備をたくさんしているので、まずは楽しみにしててほしいなって思います。

さとみ 夏が終わったときに、毎年「俺たち、今年も一番頑張ったね」って、僕らの一番の夏をどんどん超えていって、やれることも増えてきて、届けられるものが増えてきて。でも、それはいつも横にいてくれるリスナーのみんながいてくれてこそなので、少しでも身近なところに僕らがいられるよう、動画やリアルでの取り組みをしたいです。

ジェル 喜んでもらえる準備をたくさんして、映画を中心に映画関連のコラボもしているので、全部楽しんでくれると嬉しいなって思います。今も絶賛準備中なので。

すとぷり(筆者撮影)
すとぷり(筆者撮影)

――ここまでくると今後の目標設定が難しいのではないかと思いますが、今後はどんなことをしていきたいでしょうか?

ななもり。 今回の映画は作品として、5年後、10年後に見ても喜んでいただけるものになると思います。これが入口となって、すとぷりはソロでもいろんな活動をしてるので、ゲームに興味ある子は、ころんくんとかさとみくんのゲーム実況を見たり、「歌ってみた」が大好きな子は莉犬くんやるぅとくんの歌を聴いたり、ショートアニメの動画やギャグ系の動画が好きな子はジェルくんの動画を見たりしてほしいですね。その入口となる最高の作品を作れたと思うので、これからもあらゆる入口を作っていきたいですし、ライブをして音楽のリリースをすることや、動画配信などのネット活動も大事にしていきたいです。この映画の後は、新しい挑戦をもっとするというよりは、今あるものをもっと大事にしたいという感じがしますね。個々での目標とか、グループの目標とか、みんな今準備しているものとかもあったりするよね?

莉犬 やっぱりグループあっての個人だと思うし、グループにいるから頑張れる気持ちがあるので、こうやって大きな挑戦をいっぱいできたのは、リスナーさんのおかげだなって思うので、改めて今だからこそ、ふだんの活動をもっと大事にして、愛を込めて感謝を伝えていけたらなと思っています。

――今回の映画といい、すとぷりは歌い手グループとして最前線を走ってきたのではないでしょうか?

ななもり。 すとぷりみたいな活動は、今では「2.5次元アイドル」とか「歌い手グループ」という言われ方をされてきて、なんなら今は「歌い手グループ」という言葉が、一般の方にも伝わるようなところまできて、「すげえ!」って嬉しい部分もありますし、だからこそすとぷりが何をやってきたのかはもっとちゃんと丁寧に伝えていきたいですし、もっと知っていただけるように努力していかなければいけないなって感じていますね。

――今はたくさん歌い手グループが生まれてますよね。

ななもり。 はい。とはいえ。結成されるグループの数もとんでもない規模になってきている反面、解散してしまうグループも多いのが現状なんです。僕はグループのリーダーを長くやっていますし、事務所としてのSTPRの社長もやっていることもあって、いろんなグループのリーダーや、グループの活動に悩んでいるクリエイターから活動の相談に乗ることが多いんです。そういったこともあり、ブームではなく文化のとこまで盛り上がってほしいけれど、うまくいってないクリエイターが多いこの状況に何とか自分が貢献できるものはないのかと始めたのがSTPR BOYS PROJECTなんです。動画配信での「楽しい」の届け方はもちろん、お仕事として活動に向き合う際に気をつけなければいけないことなど、これまでSTPRで培ってきたノウハウを提供することで、活動の幅が広がるクリエイターを増やしていきたいと考えています。これからまだまだいろんなグループやクリエイターが増えると思うんです。K-POPライクなダンスをバリバリに踊るグループが出てきたり、お笑い寄りのおしゃべりが上手なグループができてきたりと、もっと幅が広がるんだろうなっていうのをすごく感じてますね。VTuberでいう3Dモデルのハイクオリティの時代から、にじさんじさんやホロライブさんが出てきたときのような高まりを今感じてます。すとぷりはもちろん、Knight A - 騎士A -やAMPTAKxCOLORS、そしてSTPR BOYS PROJECTを通して、僕たちの活動スタイルをブームで終わらせることなく文化として根付かせていけるよう頑張りますので、これからも応援してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします!

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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