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東方神起やJYJのメンバーも服務中!! 韓流アイドルと兵役のナイーブな関係

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国では成人男子に兵役が義務付けられている。(写真=SPORTS KOREA)

「東方神起のユンホが陸軍の特級戦士に!!」。5月10日に発表されたこのニュースを受けて、旧知の編集者や友人・知人から韓国の兵役について尋ねられることが多い。日本では馴染みがない“兵役”だけに理解しにくいことも多いのだろう。ということで、今回は韓国の兵役、特に“韓流アイドルと兵役”について紹介したいと思う。

そもそも韓国では成人男性に約2年間の兵役が課せられている。徴兵検査で判定された級によって兵役の種類が異なり6級=兵役免除というものもあるが、いずれにしても18歳から29歳までの間に成人男子は兵役問題を解決せねばならない。

(参考記事:まるっとわかる韓国の兵役。徴兵制は韓国男児の義務!

「国防は全国民の義務」とされているだけにスターやアイドルといった芸能人も避けることはできず、不正に逃れたものなら非難を浴びることは必至だ。2000年代初期に絶大な人気を誇るも兵役回避でアメリカに渡ったアイドル歌手ユ・スンジュンは、今も入国禁止処分が解けないほどだ。

対してその義務を果たした芸能人は評価アップ。現役兵として入隊した東方神起のユンホやチャンミン(義務警察)、JYJのジェジュン、ユチョン(公益勤務要員)らも「アイドルから真のサナイ(漢)」になったと評価されている。

ただ、兵役生活は決して楽ではない。入隊前は「前髪3cm以内、後ろ髪・横髪は1cm以内」の規定通りに頭髪を短く刈らねばならず、入隊後は携帯電話などの私物はすべて没収。衣服もパンツに至るまで軍支給のものを着用するよう義務付けられ、最初の5週間は訓練所での新兵基礎訓練を受けなければならないが、私の周りではこの新兵訓練期間が「とにかくつらい」と振り返る人が多い。「死んでも二度とやりたくないレベルの辛さ」だという。

ちなみに前述のユンホはその訓練所時代にも最優秀訓練賞を受賞しており、教官から「ユンホは辛い思いをしている訓練兵たちに芸能界の話をして盛り上げムードメーカーとして新兵たちを引っ張った」と大絶賛されている。ユンホが最近受賞した特級戦士も「射撃、体力、精神戦力、戦闘力などすべての科目において90点以上の成績を上げた優秀な兵士のみに与えられる資格」だというのだから凄い。まさに最強のK-POPアイドルといったところだろうか。

(参考記事:入隊からもうすく1年。東方神起ユンホは軍隊でどんな生活を送っているのか

そんなユンホが現在、所属するのが陸軍第26機械化歩兵師団の軍楽隊だ。軍楽隊とは軍の士気高揚や軍と地域住民との交流行事で演奏・公演などを行うことを主な日常勤務にしており、主に文化芸術に触れる機会が少ない地方の過疎地で公演したり、市民のためのボランティア活動に駆り出されているという。

現在、この軍楽隊に所属しているK-POPアイドルたちは多い。超新星のユナクは第3軍司令部の軍楽隊で兵役を務め、SUPER JUNIORのソンミンは陸軍第17師団の軍楽隊、同じくSUPER JUNIORのシンドンは第3軍司令部の軍楽隊に服務中。JYJのキム・ジェジュンも陸軍55師団・烽火部隊の軍楽隊に属している。

彼らアイドルたちがこぞって軍楽隊に配置されるのは、今はなくなってしまった“芸能兵制度”とも無関係ではないだろう。それまで芸能人の入隊と言えば芸能兵が一般的だったが、2013年に発覚したRAINやSE7ENといった芸能兵アイドルたちの不祥事が世論の猛烈な反感を呼び、2013年7月に廃止となってしまった。韓国メディアによると、「兵役服務中でも芸能感覚を維持できるため、軍楽隊はアイドルたちに人気」だという。

その軍楽隊でさまざまな美談を生んでいるのが、JYJのキム・ジェジュンだ。ファンから差し入れたされたお菓子や男性化粧品を同僚たちに配ったり、PX(軍隊内のコンビニ)で即席の握手会をしたり、慰問先で一般人からサイン攻めにあっても神対応だったりと、その株を上げているという。ジェジュンは今年12月に兵役を終えて除隊する予定だが、韓国メディアによるとその男気エピソードは止まるところを知らないという。

(参考記事:除隊まであと6カ月を残した、JYJジェジュン。実は軍隊体質だった!?

このようにアイドルたちは兵役服務中も話題に事欠かないが、服務中は営利活動を禁じられているため、所属事務所からの給料も支給されないという。

ちなみに現役兵の場合の月給は、二等兵で14万8800ウォン(約1万4000円)、一等兵16万1000ウォン(約1万6000円)、上等兵17万8000ウォン(約1万7000円)、兵長19万7100ウォン(約1万9000円)。CDの発表やライブコンサートの開催、ドラマやテレビCMの出演料などで、年に数十億ウォンも稼ぐアイドルにとっては“スズメの涙”にもならない薄給だが、兵役は“国民の義務”なのだから仕方ない。

特級戦士の称号もお金では買えない立派な勲章。大好きなアイドルの除隊の日を指を数えて待つファンにとっては、元気に軍隊生活を送っているニュースが届くだけでも慰めだろう。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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