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【神戸市灘区】千点の作品をわずか6日間で作り上げた超人作品 「堀尾貞治展」 BBプラザ美術館

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千点もの作品をわずか6日間で作り上げたという「堀尾貞治 あたりまえのこと 千点絵画」展が2023年10月17日から神戸市灘区のBBプラザ美術館で開催されています。6日間で千点を制作という驚異的な集中力と創造力で作り上げられた作品を見てきました。

千点中の276点が展示

会場入口にある堀尾貞治の座右の銘。
会場入口にある堀尾貞治の座右の銘。

堀尾貞治(1939-2018)は、神戸市生まれの美術家。阪神間で主に活動し世界的に名を馳せた前衛芸術グループの具体美術協会に1966年から解散する1972年まで在籍しました。その後は見えない「空気」の存在を「あたりまえのこと」と表現しこれを創作テーマとして活動を続けます。本展のタイトルにもある「あたりまえのこと」とは堀尾が生涯を通して行ったテーマのことを指します。

90×90センチサイズの作品を中心に展示されている。
90×90センチサイズの作品を中心に展示されている。

同展は、堀尾の千号サイズ(約666×497センチ)の作品を作りたいという希望に対して、千号は無理だが千点の廃棄パネルは用意できると奈良県大和郡山市にある喜多ギャラリーが応えたことからスタートしたプロジェクトです。そして堀尾はその準備された千点あまりのパネルにわずか6日間(2016年の2月、3月、5月、6月、9月、10月の各1日)で作品を作り上げました。今回はその千点中、276点が展示されています。千点を6日で制作、想像してみるといかに偉業かというのがわかります。制作過程の資料もいくつか展示されています。

270×90センチが最大の作品。
270×90センチが最大の作品。

作品は制作日順を基本に展示されていますが、作品の色彩や表現方法によりランダムに選ばれて展示されています。270×90センチが最大のサイズになりますが、小さいものは木々の端切れのような三角形に描かれた作品など形にとらわれない媒体に描かれた作品が展示されています。

よく見ると作品に足跡が見える。
よく見ると作品に足跡が見える。

床に並べられた作品を見ていくと、足跡がある作品があります。これは制作中に堀尾が歩いた跡だとか。制作中の行動の跡も作品に見つけられるのが前衛作品らしい部分ではないでしょうか。

具体の作家らしい穴や焦がした跡も。
具体の作家らしい穴や焦がした跡も。

同じ具体に参加していた嶋本昭三のキャンバスに穴を開けた作品は有名ですが、ここに展示されている堀尾の作品にも同様に穴が開いていたり燃やして焦げた跡までついた作品もありました。この作品はどのように穴を開けて仕上げているのかは会場でじっくりご覧ください。

千点の作品のうちの三分の一以下の数しか展示されていませんが、それでもこれだけの数の作品を6日間に集中して制作したその情熱と感性に焦点を合わせて鑑賞すると超人のなせる業である作品であることを肌で感じました。

また本展にあわせて関西の複数のギャラリーでは「勝手に連動企画」という企画展も開催中。こちらもあわせて観覧するとより堀尾の作品を深く理解できそうです。

「堀尾貞治 あたりまえのこと 千点絵画」展
期間 2023年10月17日から12月24日まで
場所 BBプラザ美術館 神戸市灘区岩屋中町4丁目2番7号 BBプラザ2F
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日
入館料 一般400円 大学生以下無料
公式サイト

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神戸大好きの皆さん、こんにちは!Best Kobeは「大人の知的好奇心を満たす神戸の記事」をお届けするWebメディアです。 執筆者は著書も多数ある経験歴長いフォトライターです。また歴史的文化遺産の保存を推進する兵庫県ヘリテージマネージャーの肩書も。神戸港開港以来の深い歴史や多彩な文化からなるトピックをわかりやすく伝えるように心掛けています。 さらに、サブカルチャーやイベント、季節の出来事など神戸の街を歩いて見つけたニュースもお届けします。Best Kobeを通じて魅力的な神戸を楽しんでもらえたら嬉しいです。

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