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経済界からの物価が野放図で円安も野放図との指摘

久保田博幸金融アナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 「岸田総理が来年の春闘でことしを上回る賃上げを要請したことに対し日本商工会議所の小林会頭は、賃上げしても物価の高騰がそれ以上で追い越すのは永遠に不可能な状況だとして、政府・日銀の物価対策を強く批判しました。」(テレビ朝日系)。

「賃上げで物価高を追い越すことは不可能」日商会頭が政府・日銀の物価対策を批判

https://news.yahoo.co.jp/articles/084fd7196413f1c87978898d8a7123da9cf8def0

 日本商工会議所の小林健会頭は三菱商事の社長、会長を務め、2022年11月に日商会頭・東商会頭に就任。

 日銀が政府の意向を受けて、異常ともいえる金融緩和を続けていることに対し、経済界からも強い非難の声が出てきた。

 日商・小林会頭「賃上げ努力してもね、物価の高騰がそれ以上に常になって、何というか賽の河原に石を積むような形で、賃上げすればそれに追っかけて物価が上がる。それでまた物価を追い越せということは、そういうスパイラルは永遠に不可能なわけですよね」(テレビ朝日系)

 不可能かどうかはさておき、それがこれまでの欧米の物価上昇要因となっていたとみられる。もしこのような状況となれば、それはデフレ脱却とかではなく、インフレ・スパイラルそのものとなってしまう。

 そのうえで小林会頭は、「物価が野放図で、円安は野放図で、値上がりしたものを『買え、買え』というのはちょっとおかしいんじゃないか」と政府・日銀の物価高対策や為替政策を厳しく批判しました。(テレビ朝日系)

 物価高に対して物価の番人の日銀は、静観どころか、さらに物価上昇を推し進めようと、異常な緩和を続け、正常化すら拒んでいる。

 これが欧米などの中央銀行との金融政策の方向性の違いを生んで円安要因となっている。それに対し政府はそれに異議を唱えるどころか、むしろ政府がいまの日銀の政策を推し進めるよう指示しているかのような状況となっているのである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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