戦国時代の結婚詐欺師…処女を捧げて外国人を騙した少女の目的とは
人を騙して金品を略奪する「詐欺」は、世界中で古くから横行する犯罪行為です。
なかでも信用・信頼を利用して金銭を騙し取る詐欺師は、信用詐欺師やコンフィデンスマンといわれます。
そんなコンフィデンスマンは戦国時代の日本にも存在しました。
鹿児島県の種子島で産まれた「若狭(わかさ)」という女性です。
彼女は日本初の国際結婚詐欺を実行し、日本の歴史を大きく変えたとあるモノを盗むことに成功します。
・キッカケ
1543年、鹿児島県種子島に日本初の火縄銃(鉄砲)が伝来します。
火縄銃の試し撃ちを目撃した人々は、その性能に腰を抜かすほどの脅威を感じたそうです。
大隅国種子島(現在の鹿児島県種子島)の大名「種子島時堯」は、庶民の間で話題になっていた火縄銃の性能に興味を示します。
そして、南蛮商人に2000両を支払って2丁の銃を購入。地元で評判の刀鍛冶・八板金兵衛に火縄銃の製造・複製を命じたのです。
・結婚詐欺
八板金兵衛は火縄銃のレプリカ製造に成功しましたが、弾丸を発射する仕組みに関しては解明できずにいました。
このまま上官の命令を遂行できなければ、最悪の場合は死刑を言い渡される可能性も…これに見かねて声をかけたのが、八板金兵衛の娘・若狭です。
当時16歳(17歳の説も)だった彼女は、ポルトガル人と偽装結婚して火縄銃の製造方法を聞き出すことを提案します。
そして1543年8月、真面目な性格の南蛮商人・フランシスコを誘惑した若狭は、肉体関係を持ったという既成事実を建前に結婚を要求。
その直後にフランシスコのツテを頼ってポルトガルへ渡り、翌年にはポルトガルの鉄砲技師を連れて日本に帰国しています。
・茶番
八板金兵衛は若狭が連れ帰った鉄砲技師の協力を得て、国産火縄銃の製造に成功しました。
一方、フランシスコを騙した若狭ついて、八板家系図によると「大病を患い病死したことにして葬儀をした」と記述されています。
つまり、死んだことにして結婚をうやむやにしたのです。
日本の都合に巻き込まれたフランシスコは、彼女の墓を見ても涙一滴すら流しませんでした。
これには諸説ありますが、呆れ果てて涙もでなかったのではないかといわれています。