【天理市】知る人ぞ知る!氷の神様を祀る『氷室神社』が天理にも!旧中学校の裏山に古代の氷室跡があった!
氷の神様を祀るとして奈良市にある氷室神社が有名ですが、意外と知られていないのが天理市福住にある『氷室神社』仁徳天皇の時代に、この地域で額田王大中彦が猟をした際に氷室を発見。以後、この氷室から都へ氷を献上し、この地に氷の神を祀ったのが『氷室神社』の始まりと言われています。
氷室神社の鳥居前には川が流れていて、幾分、暑さが和らいだように感じられます。
周囲は巨木に囲まれ、そこだけパッと開けた境内に拝殿があります。誰もいない境内は、静寂が加味されていっそう厳かな空気が流れているようです。
拝殿横の鏡池に注ぎ込まれる水の音が静かな境内に響きわたり、さらに神聖な気持ちになりました。
この日は氷まつりの会場の旧福住中学校に車を停めて10分ほど歩いて氷室神社に来ましたが、氷室神社の近くに駐車場の案内看板がありました。
古代の氷室跡を見に行ってみた!
旧福住中学校の裏山には古代の氷室跡が現在3つあります。冷蔵庫もなかった古代、冬の寒い時期に池で厚い氷を作り、山に掘った鉢状の穴・氷室に入れてススキなどをかぶせて保存していました。福住は奈良盆地に比べて高地にあるため気温が低く、平城京から比較的距離が近いこともあって、氷室を作るのに最適の地であり、皇室に氷を献上していたそうです。
旧福住中学校の横からうっそうとする山道を10分ほど登ります。
森の中にある氷室跡
草が生い茂っていてはっきりした輪郭は見れませんでしたが、直径約5メートルほどのかなり大きなくぼみがありました。このすぐ横にも大きなくぼみが!地元の方のお話では、小学生の時に授業で裏山を歩くと大きなくぼみが何箇所もあってびっくり!子供心に初めて見た時、これは何だ?と疑問に思ったそうです。
この日は「福住氷まつり」が開催されていました!
毎年、建国記念日に3トンの氷を復元氷室に入れ、7月第3月曜日の海の日に取り出します。
復元氷室に入ってみた!
普段は中に入れませんが、氷を復元氷室から取り出す前に、この日は中に入って見ることができました!
復元氷室の中は想像以上に広く、外よりひんやり涼しく感じられました。
昨年の復元氷室の氷残量は209kgでした。復元氷室を設置した当初、氷残量が多い時は2トンもあったそうです。これも温暖化の影響と言えるのでしょう。
氷が復元氷室から運び出されます。
復元氷室より運び出された氷を、大八車に乗せて旧福住中学校まで大事に運びます。
氷まつりの会場となっている旧福住中学校に到着した氷。今年、復元氷室で残っていた氷は248kgでした。残存氷の量を当てるクイズで、見事この数字に近かった方に景品が進呈されました。
七月市が開催されていました!
氷まつりらしく、かき氷のお店がたくさん出店。ちなみに、復元氷室から取り出された氷は食べれません!!
甘葛シロップのけずり氷を食べてみました!(おとな 400円 こども 200円)
「甘葛煎」は奈良時代初期に存在した天然の甘味料。ナツヅタの茎の樹液を煮詰めて作ったと考えられています。古代の甘味をよみがえらせようと「奈良女子大学甘葛煎再現プロジェクト」で再現開発に成功し、商品化されました。
けずり氷と天然素材の甘さのシロップが溶け合わさった、いにしえの優しい味のかき氷でした。
酷暑の夏に氷の歴史に浸るのも、いとおかし
氷まつりでは予想外に復元氷室に入る貴重な体験ができました。興味のある方は来年の海の日に、「復元氷室」を体験されてはいかがでしょうか?
福住は天理市内より標高が高く緑にあふれ、体感温度が実際より低く感じられました。この夏、静寂が漂う氷室神社や氷室跡、復元氷室を訪れ、氷の歴史に浸りながらの避暑もおすすめです!