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「白いちじくとマスカルポーネの大福」東京・駒澤大学前 KIKYOYA‐ORII

赤坂美附和菓子ソムリエ

「いちご大福」の登場から30年。今ではすっかり和菓子界のスターですが、初めて見たときは「生の苺とあんこって、酸っぱくないの?!」と思い、当時はなかなか手を出せずにいたものです。

近年、様々なフルーツ大福が登場し、断面萌えで大流行。大福の進化は目を見張るものがありますね。

三重県の老舗和菓子店の十九代目が、東京で開いたお店、KIKYOYA‐ORII さんの「白いちじくとマスカルポーネの大福」は、フルーツ大福とは異なる、洋酒を使った大人の大福です。

KIKYOYA‐ORIIさんの「白いちじくとマスカルポーネ大福」 1個 税込480円
KIKYOYA‐ORIIさんの「白いちじくとマスカルポーネ大福」 1個 税込480円

ひと口目の衝撃、フルーティな爽やかさは、まさに洋酒がなせる業。ラム酒に漬けたドライ白いちじくと、白いんげん豆を炊き合わせた餡の断面は、白いちじくを贅沢に使用した証、オレンジ色に染まった〝白いちじ餡″ に種がプチプチと点在。
フルーティな白いちじくとラム酒独特の甘くて芳醇な風味を、マスカルポーネが包み込み、後味はマイルド。それは生クリームではなく、マスカルポーネである所以を実感します。

KIKYOYA‐ORIIさん 外壁
KIKYOYA‐ORIIさん 外壁

フルーツや洋酒を使う大福には、求肥が使われていることが多いですが、KIKYOYA‐ORIIさんは、朝つきたてのお餅を使った朝生の大福。

柔らかなお餅と、フルーティな餡のハーモニーは、お餅とあんこ好きの人なら、きっと心をワシ掴みですよ。コーヒーや紅茶のお供のほか、ドライフルーツをお供にする洋酒にも合いそうです。

KIKYOYA‐ORIIさんの 十九代目の豆大福はこしあん 1個 税込330円
KIKYOYA‐ORIIさんの 十九代目の豆大福はこしあん 1個 税込330円

また、KIKYOYA‐ORIIさんは、糖度低めの上品なこしあんが得意なお店で「十九代目の豆大福」は、店主渾身の逸品。

この豆大福は、私の豆大福選手権で上位に君臨しておりまして、こしあん好きの方にお勧めです。

雑味が無く透き通るような甘さ、サラサラで上品な舌触り。その秘訣は、白ざら糖の中でも特に結晶が大きく純度が極めて高い"鬼ザラ糖”を使っているからだそう。北海道産小豆の風味も引き立てています。

結晶が大きく純度が高い「鬼ザラ糖」
結晶が大きく純度が高い「鬼ザラ糖」

お店に併設した工房で毎朝つくお餅は、柔らかく粘りがありキメ細かな食感が特徴の「滋賀羽二重糯」を使用。

シンプルにお店の味を知りたいという方は「十九代目の豆大福」もご一緒に。朝つきたてのお餅で作る、朝生菓子の贅沢な美味しさ、ぜひ体験してみてください。

【餅菓子専門 KIKYOYA‐ORII -since 1607-】

2022年11月、東京・駒澤大学前で開店。三重県伊賀市で416年続く老舗和菓子店「桔梗屋織居」の若き十九代目 中村弓哉さんが、老舗の伝統的な技と時代のトレンドを合わせた餅菓子を追求するお店です。

KIKYOYA‐ORIIさん外観
KIKYOYA‐ORIIさん外観

老舗の十九代目が、なぜ、東京で新たにお店を開くのか?
お尋ねしたところ、それは、新たな暖簾の守り方を考えた挑戦でした。

「日本文化の象徴のひとつである和菓子ですが、時代が変われば食の嗜好も変わる。時代のニーズの先端を捉え、支持され続けることが、400年以上続く暖簾を守っていくために必要と考えています。多種多様な人が集まる東京でそのニーズを知り、桔梗屋織居が培ってきた技で、次の時代の和菓子を作っていくために、東京で開店しました」と、店主の中村さん。

大学進学で上京後、都内で老舗和菓子店の商品開発や、コンビニスイーツの開発など携わり、2022年11月、KIKYOYA‐ORIIを開店されました。

KIKYOYA‐ORII 店主 中村弓哉さん
KIKYOYA‐ORII 店主 中村弓哉さん

初期投資が高いと言われる、和菓子店の開業。
それは機器導入のほか、餅つきの振動対策、煮炊きの蒸気を排出する設備やスペースの確保と、物件探しのハードルが高いことも理由のひとつです。

今回、東急田園都市線 駒澤大学駅 徒歩1分という立地で、木目と白で洗練された小さなお店に併設した工房には、煮炊きスペースを最小限にするため、コンベクションオーブンを活用するなど、新たな視点の工夫と知恵が詰まっていました。

KIKYOYA‐ORIIさんの店内
KIKYOYA‐ORIIさんの店内

400年以上続く老舗の暖簾を守るため、土地を離れてチャレンジする。
白いちじくとマスカルポーネの大福は、若き十九代目の挑戦の象徴と思う、和菓子ソムリエ赤坂美附です。

●白いちじくとマスカルポーネの大福 1個 税込 480円
●十九代目の豆大福 1個 税込 330円

《催事情報》10月、伊勢丹新宿店の催事に出店されます。
 出店期間:10月18日(水)〜24日(火) 伊勢丹新宿店
      本館地下1階 甘の味/今め菓子

 駒澤大学はちょっと遠いという方、ぜひ。


◎餅菓子専門《KIKYOYA ORII -since 1607-》東京駒沢店
 ・東京都世田谷区駒沢1-4-11
  ※東急田園都市線「駒沢大学駅」徒歩1分
 ・定 休 日:火曜日 (その他、月毎に定休有)
 ・ 営業時間: 11時~ 18時 (売切れ次第終了)
 ・お問合せ:Instagram @kikyoya‗orii_mochi

和菓子ソムリエ

北海道・札幌生まれ、東京在住。無類のあんことお餅好き。コロナ禍で和菓子離れが囁かれたことがキッカケで、和菓子のおやつ喚起「テレワークは3時に和菓子を」をテーマに、和菓子の紹介や和菓子屋さんの創業史をinstagram・音声メディアVoicy ・twitterから発信しています。本業はセールスプランナー・講師。

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