モノクロ写真のススメ!
デジタルカメラは基本的にカラー写真を撮ることを前提に作られています。
美しい景色、思い出の風景、大切な人などをカラー写真として記録することができます。
その昔、フィルムカメラは白黒写真からスタートしました。
その後カラーフィルムが登場して以来、写真の基本はカラー写真となりました。
ですが、現代のデジタルカメラではモノクロ写真を記録するモノクロモードが搭載されています。
モノクロ写真が進化してもカラー写真が登場したはずなのに、なぜ最新のデジタルカメラにモノクロモードがあるのでしょう。
カラー写真のほうがずっと情報量も多く、被写体そのものを正確に写し撮ってくれるのになぜでしょう。
それはきっとモノクロ写真にはカラー写真にはない味と風合いがあるからです。
確かに、モノクロはカラーに比べると情報量は圧倒的に少ないです。そもそも色情報がないのですから、色が分からないということになります。
ですが、もし情報量が少ないから劣っているというのであれば、写真はビデオよりも劣っているということになります。
ビデオなら動きや音までも記録することができるからです。
にも関わらず、人々は写真を撮ります。
もちろん、ビデオも撮るでしょう。
でも、すべてをビデオにするのではなく、写真も撮ります。
これは写真には、記憶をよみがえらせ、想像力を掻き立てるという力があるからではないかと思います。
一枚の写真を見ただけで、そのときの記憶がどんどんよみがえってくるという経験をしたことはないでしょうか。
写真は、まったく動かないのにそのときの動きや声、感情や気温までもが記憶の奥底からよみがえってくるのです。
写真にはそういう力があると思います。
ですから、モノクロ写真でも撮った本人は色はもちろん、声や感情なども思い出すことができるのです。
むしろ色がない分だけ、より感覚が研ぎ澄まされるかもしれません。
そして、撮った本人ではなく、初めてその景色を見る人にとっても、感覚で写真を見ることできると思うのです。
想像力を働かせて写真を見て、楽しむことができるのです。
ちょうど、小説を読んで、舞台と主人公を自分の頭の中で作り上げるのに似ているかもしれません。
映画を見るよりも、小説を読む方がより想像の世界を楽しめるというのと同じかもしれません。
旅の途中で立ち寄ったレストランのテーブル。
カラー写真であれば、ナプキンの色やお店の壁の色までも知ることができます。
同じシーンをモノクロで撮ったものです。
私はこちらの写真のほうがなんだか優しい気持ちになれて、
そして旅の思い出を懐かしく思い出します。
「どちらのほうが良いか」ではなく、
カラーも楽しいけど、モノクロも素敵。
どちらか一方に決めるのではなく、気分で両方を楽しめばいいのではないでしょうか。
デジタルカメラは、カラーとモノクロを混在して撮影することもできますし、
カラーで撮った写真を手軽にモノクロに変換できたりします。
基本はカラー写真で、ほんのちょっとだけモノクロ写真を楽しむということも可能です。
光と影だけで写真を構成するモノクロ写真。
想像力をかき立てるモノクロ写真。
ちょっと気分を変えてモノクロ写真を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(写真はすべてNikon Dfにて撮影。)