残業時間上限規制<100時間>譲歩すべきは連合?経団連?
引き続き長時間労働規制の問題です。
報道では「経団連会長 「連合と合意目指す」残業上限規則で」とあり、今週中に会談もあるとされています。
また、報道のタイトルでは、経団連は連合と合意を目指しているようです。
しかし合意に至るには、どちらかが譲らなければなりません。
さて、どちらが譲歩すべきでしょうか?
誰が今まで長時間労働をさせてきたのか
先日、配信した「残業時間の上限規制~問われる政府の<本気度>」では、主に「政府の本気度はどうなのか?」を書きました。
しかし、この問題で一番責任があるのは誰でしょうか?
それは、残業時間について「繁忙期100時間」に固執する経団連にあると断言したいと思います。
そもそも、経団連会長・副会長企業において、今現在、労働者をどれだけ残業させられるようにしているのでしょうか?
それは以下のとおりです。
なお、
とのことです・・・。
いずれにせよ、これを見て分かる通り、経団連会長・副会長企業の多くが「1か月100時間」としています。
NTT東日本(東日本電信電話)に至っては150時間(!)です。
結局、「繁忙期100時間」という規制は、ほとんど現状と変わらないで済むことがわかります(NTT東日本を除く)。
なお、念のため言いますと、過労死基準は脳・心臓疾患などで1か月100時間、2~6か月で平均80時間とされています。
現在これだけの時間、労働者を「合法的に」働かせることができる経団連が、「働き方改革」での長時間労働規制において、「繁忙期は月100時間」を死守しようと、その時間を割らせないように固執しているのです。
どっちが譲歩すべき?
さて、100時間は「あり得ない」とする連合、100時間なら「妥当な水準」とする経団連、どちらが譲歩すべきでしょうか?
労働者側の事情は、過労死の基準ですから、言い分としてはシンプルです。
他方、経営者側ですが、繁忙期は100時間くらい残業させられなければ困る、という事情があるのだろうと推察します。
そして、今はそのくらいの時間数を働かせているのですから、それがダメになれば、企業側が困ることも想像に難くありません。
だから、繁忙期は100時間くらい認めてくれ、というのでしょう。
しかし、それは過労死基準なのです。
つまり、場合によっては労働者が死んでしまうということなのです。
労働者が死亡することは、企業側の言う「困る」どころの話ではありません。
そもそも経営者側の「困る」は他に手段を講じれば何とかなることもあるでしょう。
むしろ、それを工夫するのが経営手腕の一つではないでしょうか。
他方、死んでしまった労働者は生き返ることはありません。
あなたの夫、妻、息子、娘、父、母、孫、兄弟姉妹、恋人、親しい誰かが働きすぎで亡くなった場合を想像してみてください。
そういう悲しいこと、痛ましい事件が起きないよう、現状を変えるのが「働き方改革」だったのではないでしょうか。
こうした点を見ても、本当は労使のどちらが「譲歩」すべきなのかは明らかだと思います。
最後に、父親を過労自殺でなくしたマーくん(当時小学校1年生)が書いた詩を紹介します。
この詩は、ぜひとも経団連・榊原会長に読んでもらいたいものです。