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アトピー性皮膚炎の最新治療薬:レブリキズマブとデュピルマブの効果を比較

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:イメージマート)

【アトピー性皮膚炎治療の新たな選択肢】

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う慢性的な炎症性皮膚疾患です。近年、この病気の治療法は大きく進歩しており、特に生物学的製剤と呼ばれる新しいタイプの薬が注目を集めています。

2023年11月、欧州医薬品庁(EMA)は、レブリキズマブという新薬を中等度から重度のアトピー性皮膚炎の治療薬として承認しました。この薬は、インターロイキン13(IL-13)という炎症を引き起こす物質を標的とする抗体医薬品です。

レブリキズマブの登場により、患者さんや医師の治療選択肢が広がりました。これまで、デュピルマブという薬が主に使われてきましたが、新しい選択肢ができたことで、より個々の患者さんに適した治療が可能になると期待されています。

【レブリキズマブとデュピルマブの効果比較】

最新の研究では、レブリキズマブとデュピルマブの効果を比較しています。この研究は、システマティックレビューとネットワークメタ分析という手法を用いて、98の臨床試験のデータを分析しました。

結果として、レブリキズマブはデュピルマブと同程度の効果があることがわかりました。具体的には、皮膚の症状を評価するEASIスコア、患者さんの自覚症状を評価するPOEMスコア、生活の質を評価するDLQIスコアにおいて、両薬の効果に大きな差はありませんでした。

ただし、治療成功率を比較すると、デュピルマブの方がやや高い結果となりました。例えば、EASIスコアが75%改善する確率は、デュピルマブの方が1.4倍高かったのです。

これらの結果は、レブリキズマブがデュピルマブに劣らない効果を持つことを示しています。しかし、個々の患者さんに最適な治療法を選ぶには、さらなる研究や臨床経験の蓄積が必要でしょう。

【新薬の安全性と今後の展望】

レブリキズマブの安全性についても研究が行われていますが、現時点では重大な副作用は報告されていません。ただし、長期的な安全性については、さらなるデータの蓄積が必要です。

今後は、レブリキズマブやデュピルマブ以外にも、新しい治療薬の開発が進んでいます。例えば、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と呼ばれる薬剤も注目されています。

アトピー性皮膚炎の治療は、症状の程度や個々の患者さんの状態に応じて選択されます。軽症の場合は保湿剤やステロイド外用薬が基本となりますが、中等度から重度の場合は、これらの新しい生物学的製剤が選択肢となります。

日本では、デュピルマブが2018年から使用可能になっており、さら、レブリキズマブも2024年から使用可能になりました。これにより、日本の患者さんにとっても治療の選択肢が広がったことになります。

アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、これらの新しい治療法について、かかりつけの皮膚科医に相談してみるのがよいでしょう。症状や生活の質を改善する新しい選択肢が増えていることは、患者さんにとって朗報と言えます。

最後に、アトピー性皮膚炎の治療は日々進歩しています。新しい治療法が登場しても、基本的なスキンケアの重要性は変わりません。保湿を十分に行い、皮膚を清潔に保つことが大切です。また、ストレス管理や生活習慣の改善など、総合的なアプローチも効果的です。

参考文献:

Drucker AM, Lam M, Prieto-Merino D, et al. Systemic Immunomodulatory Treatments for Atopic Dermatitis: Living Systematic Review and Network Meta-Analysis Update. JAMA Dermatol. Published online July 17, 2024. doi:10.1001/jamadermatol.2024.2192

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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