高校生の3割は朝食を一人で食べる…子供の孤食実情
生活サイクルの変化や多様化、個人の日常生活上における行動の濃縮化、すき間時間の縮小化、そして家庭内における保護者の共働き率の増加など、多様な社会変化を受けて、「孤食」が増加しているとの指摘がある。様態的には単に一人で食事をする「個食」と同じだが、心境的な寂しさ、もの悲しさ、孤独感、心理的な圧迫感を覚えさせる「個食」が「孤食」であると考えて良い(同じ読み方で「固食」もあるが、これは特定の決まったものしか食べないことを指す)。
特に子供の「孤食」が問題視されているのは、情緒を育む成長期において、家族と食卓を囲むことで交わされるコミュニケーションが重要とされているから。コミュニケーションの機会・経験が少なければ、成長してから他人との交流に難しさを覚えるようになる。また他人との対話を交えながらの食事に慣れないと、不特定多数が集まる場での食事そのものを敬遠することにもなりかねない。さらに食事の様式を覚える過程で一人での食事が多くなると、食事の作法だけでなく、食事そのものもいい加減なものとなり、偏食、さらには調理も苦手になる可能性が高くなる。
ところが主に時間の都合上、子供だけで食事をとらねばならない事例も少なくない。次のグラフはライフネット生命保険が2013年11月に発表した、食育に関する調査結果を基にしたもの。調査対象母集団のうち、高校生以下の子供を持つ人に子供の孤食度を尋ねた結果であるが、全体では朝食で17.4%、夕食でも3.2%が、「自分の子供がしばしば『孤食』状態である」と答えている。
頻度を問わずに子供が「孤食」をしている世帯は、朝食では全体で55.5%、高頻度に限れば17.4%。夕食ではそれぞれ32.4%・3.2%。
朝食時の方が孤食度が高いのは、生活サイクルの上で出勤・登校時間を合わせるのが難しいことに加え、朝の時間帯は親子共に多忙なことが原因。夕食時は父親の帰宅が遅くなる事例もあるが、少なくとも夕食を作るであろう母親と共に食卓を囲む事例が多くなるため、朝食時よりは孤食度が低くなる。それでも3%ほどは高頻度で孤食状態が確認できる。これは子供自身の好き嫌いや家庭内の方針、そして母親の共働きで帰宅が遅くなる事例が想定できる。
子供の世代別では、歳が上になるほど孤食率が高くなる。いくつか理由が考えられるが、例えば「歳上になるほど『照れ度』が増して食事も含め保護者との時間の共有を避ける」「授業終了時間が遅くなり、さらに部活動で子供のスケジュールが多忙になる」「母親のパートによる就業比率が高まり時間を調整しにくくなる」などが原因。高校生の場合は、受験勉強のさまたげにならないよう、子供の望む時間に一人で食事を取らせる事例もあろう。
色々とすること、出来ることが多い昨今。日常生活の中で親子が共に定期的に時を過ごし、共通の話題で言葉を交わす機会は、実はさほど多くない。情緒教育の一環として、そして親子の絆を維持するためにも、出来る限り共に食事をとるよう、各自が努力してほしいものだ。
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