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今、もっとも注意すべき「えきねっと」を騙ってやってくる、自動退会処理の偽メール!タップしてみると!?

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
筆者のところに次々に届くフィッシング詐欺メール(筆者修正)

「えきねっと」を騙るフィッシング詐欺メールが頻繁に届いているとして、JR東日本は、注意喚起をしています。

自動退会のご案内メールを偽装した偽メールにご注意ください!

実際に、筆者のところにも今月に入って次々に届いています。

筆者のもとに来た、えきねっとを騙る偽メール
筆者のもとに来た、えきねっとを騙る偽メール

偽メールもそうですが、誘導される先の偽サイトもなかなか巧妙でしたので、実際にアクセスした画面をお見せてして、注意喚起をしたいと思います。

実際に行われることに、便乗するのが詐欺の手口

「えきねっと」では、実際に長らくログインしていない方を自動退会処理しています。筆者のところにも、昨年、自動退会処理の正規メールが届いています。

下記の画像がそうです。

昨年、筆者に届いた、正規の自動退会メール(筆者加工)
昨年、筆者に届いた、正規の自動退会メール(筆者加工)

正規メールにある「アカウントの自動退会処理について」のタイトルや、「最後にログインをした日より起算して2年以上『えきねっと』のご利用(ログイン)が確認できない『えきねっと』アカウントは」などの文面を流用して、本物そっくりな形で偽メールを送ってきていることが分かります。

当時、筆者はログインしなかったので、すでに自動退会になったと思いますが、こうした事実に乗じてやってくるのが、詐欺の常套手段です。

実際に偽メールにアクセスするとこうなった

昨日も偽メールが来ていて、多くの人にも届いているようなので、注意喚起のために、実際にアクセスしてみたいと思います。

まず、緑を基調にした本物に似せたような画面が出てきていました。

筆者がタップして出てきた偽サイト画面(上部)
筆者がタップして出てきた偽サイト画面(上部)

筆者がタップして出てきた偽サイト画面(下部)
筆者がタップして出てきた偽サイト画面(下部)

このサイトの巧妙さは、正規サイトへ飛ぶような仕組みにしている点です。実際に、上部の「JRツアー」や、その下に載っている「メールマガジンのご案内」「サービス提供時間」「お問い合わせ」「よくあるご質問」などの部分をタップすると、JR東日本の正規ページに飛ぶようになっています。

ただし、ここが偽サイトと、見抜くポイントも存在します。

「新規会員登録」「My JR-EAST IDでログイン」の青ボタンをタップしてもサイトには飛びません。

ログインページの先に進むと

ログインのページの「ユーザーID」「パスワード」の入力は必須なので、適当に入力して先に進むことにします。すると「個人情報の更新」を促す画面が出てきました。連絡先など、存在しない住所を入れて先に進みます。

筆者がログインした偽サイト画面
筆者がログインした偽サイト画面

すると、クレジットカード番号などを入力する画面が出てきました。やはり、この情報を入力させることが目的であることが分かります。

筆者がアクセスした、偽サイト画面
筆者がアクセスした、偽サイト画面

それにしてもアクセスしていて、怖い!と思ったのは、パソコン画面の方で適当に情報を入れて先に進もうとした時に、そこで過去に入力して保存してある個人情報やクレジットカード情報が入力欄のところに自然に出てきて、ワンタッチで記入できるようになっているところです。

おそらく、こうした情報部分をポンポン押して先に進んでしまい、個人情報を抜き取られた方もいるのではないかと思います。便利な機能ではありますが、詐欺などの情報詐取にも利用されやすいので、注意が必要です。

3月1日以降「えきねっと」の自動処理の正規メールにはURLをつけていません

JR東日本からの注意喚起では、3月1日以降の自動処理の正規メールには「URLをつけていない」ということです。

また正規サイトでは、「『eki-net.com』の直後に『/(スラッシュ)』が入ります」と、偽サイトのURLとの違いも説明しています。

いずれにしても、届いたメールに載っているURLをタップしての個人情報は入力せず、重要項目を入れる際には、一歩立ち止まってサイトを隅々まで確かめる。この2点だけは絶対に忘れないようにしてください。

微妙に文面を変えながら、今もやってくる「えきねっと」メール

今、過去の「えきねっと」を騙る詐欺メールを改めて見ていますが、本当に巧妙です。

件名「【重要】えきねっとアカウントの自動退会処理について」「えきねっとアカウントの制限を解除する」など、タイトルの切り口を変えて送ってきています。

それに、3月初めの偽メールには、「今後も「えきねっと」をご利用いただける場合は、2022年3月6日(月)よりも前に、一度ログイン操作をお願いいたします」となっていましたが、昨日来たものは、「2022年4月18日よりも前に、一度ログイン操作をお願いいたします」と送る日付に合わせて、数字を変えてきています。

詐欺に成功した手口は、手を変え品を変えて数多くメールを送ってくる傾向があります。今、「えきねっと」の偽メールが、これだけの数が送られてきているということは、水面下で騙されている人がたくさんいると考えてよいと思います。

今、もっとも警戒すべきフィッシング詐欺の一つが「えきねっと」の偽メールだといえます。ご注意ください。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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