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結納は大安の日~~しかし、皇室は六曜を意識しない

山下晋司皇室解説者
眞子内親王殿下、ご婚約内定 小室氏と記者会見(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 秋篠宮家の眞子内親王殿下と小室圭氏との「納采の儀」(のうさいのぎ)が来年3月4日で調整されていると21日に毎日新聞が報じた。宮内庁の正式発表ではなく、毎日新聞の独自取材によるものである。

 現在、おふたりは婚約者ではなく「婚約内定者」である。一般の結納にあたる「納采の儀」をもって正式な婚約となる。毎日新聞の記事のとおりだとすると来年3月4日をもっておふたりは婚約者となるわけである。

 「納采の儀」のあと、小室家から秋篠宮家に結婚式の日取りを伝える「告期の儀」(こっきのぎ)というものがある。結婚式は来年秋だとみられているが、「告期の儀」は結婚式の1ヶ月ほど前になるだろう。

 眞子内親王殿下は結婚式の3日ほど前の午前中に皇居内の宮中三殿で拝礼する「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」(かしこどころこうれいでんしんでんにえっするのぎ)に、いわゆる十二単の装束で臨まれる。その日の午後に、今度は勲章着用の正装で天皇皇后両陛下にご挨拶する「朝見の儀」(ちょうけんのぎ)が行われる。

 そして結婚式当日を迎えるわけだが、結婚式は男性皇族の結婚のように宮中三殿の賢所ではなく、一般のホテルなど、外部の施設で行われる。

 男性皇族の結婚は、皇室会議(内閣総理大臣、衆参の議長副議長、最高裁長官、同判事、宮内庁長官、皇族2名の計10名で構成)の了承が必要(皇室典範第10条)だが、女性皇族の場合は不要である。そして、お相手が一般の人の場合、結婚と同時に自動的に皇族の身分を離れる(皇室典範第12条)。これは、一般の人が皇族という特別な立場になる場合は国家としてそれを認めるかどうかを審議するが、逆に特別な立場から一般国民になる場合、国家は関わらないということである。女性皇族と一般の人との結婚はプライベートという扱いになっているともいえる。

 ただし、女性皇族が一般国民になっても、皇族であったということは生涯変わらない。国家としてそういう方には皇族であったものとしての品位を保ち続けていただきたいという考えから、「一時金」という、いわば持参金のようなものをお渡しすることになっている(皇室経済法第6条第7項第1号)。その金額決定のために皇室経済会議(内閣総理大臣、衆参の議長副議長、財務大臣、会計検査委員長、宮内庁長官の8名で構成)が開かれる。

 さて、タイトルで示した六曜についてだが、来年3月4日は大安である。六曜は、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口と6種類あるが、よく知られているのは大安と仏滅だろう。

 結婚式などの慶事は大安がいいとか、友引に葬式をやってはいけないとか、要するに吉凶の暦である。江戸時代は庶民の暦にもさかんに使われたようだが、明治になり、新政府は非科学的で迷信だとした。当然、皇室も新政府と足並みをそろえたため、六曜は意識しないことになる。

 30年ほど前の宮内庁時代の話だが、筆者はある儀式の日程について、制度に詳しい先輩に「やっぱり大安を選ぶんでしょうね」と訊くと「山下君、皇室に六曜は関係ないんだよ」と言われたことを今でもよく覚えている。

 しかし、昭和34年の天皇皇后両陛下の納采の儀も結婚式も大安だった。平成5年の皇太子同妃両殿下も同様に両方とも大安だった。秋篠宮同妃両殿下の納采の儀は先負だったが、結婚式はやはり大安だった。

 これらの事実から、六曜を意識していると思われるのだが、昨年、100歳で薨去された三笠宮崇仁親王の本葬にあたる「葬場の儀」は友引だった。一般的に友引に告別式は行わない。火葬場も友引は定休日になっていることが多い。

 結論としては、六曜ありきで日を選ぶわけではないが、いくつかの候補日から選ぶ場合は、六曜を気にする人もまだ多くいるので、それに"配慮"するということのようである。

皇室解説者

昭和31年 大阪市生まれ、関西大学卒。20数年の宮内庁勤務後、平成13年に退職。宮内庁では昭和63年~平成7年まで長官官房総務課で報道を担当。昭和天皇の崩御・大喪の礼、平成の即位の礼・大嘗祭、秋篠宮殿下の結婚、皇太子(現在の天皇陛下)の結婚などの諸行事を報道担当として経験。平成時代の天皇皇后の中国訪問、米国訪問及び皇太子(現在の天皇陛下)のモロッコ・英国訪問に報道担当として同行。宮内庁退職後は出版社役員を経たのち独立。独立後は、BSテレ東・テレビ東京「皇室の窓スペシャル」の監修のほか、週刊誌・テレビなど各メディアでの解説、記者勉強会の講師、書籍・テレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている。

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