スイス中銀が異例の利上げ、日銀は現状維持(意地?)
スイス国立銀行(中央銀行)は16日、政策金利を従来のマイナス0.75%からマイナス0.25%に引き上げると決めた。利上げは2007年9月以来15年ぶりとなる。政策金利の引き上げは17日から適用する。
ロイター調査によると、ほぼ全てのエコノミストが金利据え置きを予想していた模様。このため、今回の利上げは市場で大きなサプライズと受けとられた。
スイス国立銀行のジョルダン総裁は記者会見で「本日利上げしなければインフレ見通しは大幅に上昇する」との見方を示した。
スイスの5月の消費者物価の伸び率は前年同月比で2.9%と、およそ14年ぶりの高水準になった。今回の利上げはインフレ抑制が目的となる。
スイス中銀の政策金利は世界最低の水準となっていた。ECBも7月の利上げを示唆しており、いずれスイス中銀とECBはマイナス金利政策の解除に向かうとみられる。
スウェーデンは2019年12月にマイナス金利政策からの脱却を決めており、現在、政策金利の一部がマイナスとなっているのは、スイス以外ではECBやデンマーク、そして日銀となる。
これを受けて日銀の政策修正の思惑も出たようだが、日銀の政策修正は容易ではないこともたしかである。少なくとも9名の政策委員のなかで、総裁を含めるとリフレ派が5人(若田部副総裁、片岡審議委員、安達審議委員、野口審議委員)いることで、緩和修正を多数決で決めるには現状はかなりハードルは高い。
実際に17日の日銀の金融政策決定会合では、これまで通りの現状維持となった。加えて先物のチーペストの指し値オペというさらなる緩和強化をした都合上、チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置を行う。