【危機】韓国の刑務所でコロナ感染拡大。受刑者の50%が感染、李明博氏は「死の危険」と刑執行停止を要求
「脆弱な換気環境」を政府側も認める
刻一刻と深刻度が増している。
日本と同じく、韓国でも新型コロナの感染が広まっており、31日もまた全国で新規感染者900人超えと発表になった。
2020年最終日の韓国を駆け抜けたのが「刑務所でも感染拡大」のニュースだった。
ソウル市内の東部刑務所は、31日に「受刑者126人が新規感染」と発表した。これで受刑者の合計感染者数は897名となった。全収容者は1700人前後というから「50%超」といったところだ。
(20日の時点で215人の感染が明らかに。メディアのカメラに対し助けを求める受刑者)
同刑務所では、先月27日にスタッフ1人の感染が発覚。その後12月18日から4度に分けて全員検査を行った結果が上記の数字だ。
感染拡大を受け、韓国法務省は来月13日まで同刑務所内の行動制限ステップを“外の世界”が定める「3」にまで格上げした。
刑務や受刑者に対する職業訓練が中断となり、一般の面会も不可能に。弁護士との面会も必要最小限に限定される状態だ。
韓国法務省側は「(東部刑務所)がアパート型の構造であり人と人が接触しやすかった」「脆弱な換気施設」「高密度の収容環境」「無症状者の存在による感染拡大」が起きるだろうという予測が出来なかったと、失敗を認めた。
韓国国内では施設環境が抜群にいい、とされる更生施設でもこれほどに感染が拡がった点に衝撃が走っている。また、この日ソウル市内の別の刑務所では受刑者の一人が新型コロナ感染のために死亡した、と発表あれた。この点についても韓国法務省は異例の公開謝罪を行うまでの事態となっている。
服役中の元大統領は「命の危険」を訴えるも…
この「刑務所での感染拡大」と併せ、話題となった人物がいる。
李明博元大統領だ。
10月29日に韓国最高裁(大法院)から横領や収賄罪により有罪の判決を下され、懲役17年の刑に服している。
この大物が収監されているのが、集団感染が発覚した上記の「ソウル東部刑務所」なのだ。
もともと21日から持病(糖尿病や肺疾患)の検査のために入院していたが、「刑務所内感染」の報が出るや、28日に「高齢であり、基本疾患もある。仮に新型コロナに感染すると死亡の危険度が高い」として刑務停止を申請した。
しかしこれは却下された。
「刑の執行停止を行うほど深刻な感染状況ではない」との理由からだ。
いっぽうで、国内メディア「イーデイリー」は「ホテル級」とも言われ、元大統領が収監されているソウル東部刑務所の独房の荷物が「すでに別の場所に移されている」と報じた。刑務所関係者への取材結果だという。「少なくともここには戻らないのではないか」とのコメントも紹介された。
(李元大統領が収監されてきた独房の様子を報じる「YTN」)
はたして行き場はどこになる?
感染への憂慮を訴えた結果、より厳しい環境の施設へと移ることになるだろうか。李明博派の支持者は「釈放こそが最大の感染予防。80歳には酷な環境」と訴えているというが…
元大統領にとっては「行く先も定まらぬ」厳しい年越しとなった。