「統一教会と関係断絶を求める声明」を発表 衝撃的な教団の内部資料も明らかに
3月18日に全国霊感商法対策弁護士連絡会の集会が行われて「宗教2世の問題」や「政治と統一教会の癒着、特に地方政治について」についての報告がなされました。4月に統一地方選挙が迫るなか、弁護士らは政治家に対して「統一教会と関係断絶を求める声明」を発表しました。
「統一教会と関係断絶を求める声明」趣旨
声明のなかで「世界平和統一家庭連合(以下、統一教会)による被害を根絶するために、正体を隠した違法な伝道活動や霊感商法による被害、家族被害、二世被害を防止・救済する実効性ある施策を実現、実施」「国会議員、地方議員を問わず、政治家(首長を含む)には統一教会との関係断絶を改めてお願いする」とともに「前項の関係断絶を明らかにするため、その所属する各議会において統一教会との関係を断絶する決議」などを求めています。
引き続き、統一教会との決別の取り組みを進めて頂くことを求める
また「統一教会との関係を絶つ旨の議会決議を行った地方自治体に対して、統一教会は昨年12月以降、信者や関連団体を原告として、5自治体に対して決議の取り消しや損害賠償を求めてる」ことに関して、弁護士らは「霊感商法、献金強要などの違法、反社会的な行為を繰り返している統一教会との断絶を宣明したこれらの決議は、正当な内容であり、賞賛されこそすれ、非難される筋合いは全くない」として、地方自治体に対して「統一教会による不当な圧力に屈せず、引き続き、統一教会との決別の取り組みを進めて頂く」ことを求めました。
衝撃的な教団の内部資料が明らかに
地方議会に対して、教団側の関係者らが訴訟を起こしていることに関して、教団側の焦りを感じていましたが、その思いを強くしたのが、集会で話された「報道特集」(TBS)の内容です。
ここでは教団の内部資料が明らかになり、なかなか衝撃的なものでした。
旧統一教会が目指す「国会復帰基盤造成のためのロードマップ」では、2015年までに市民権を得て「普通の宗教」となり、2020年以降には王権を復帰(取り戻す)して「国民の宗教」(以下、国教)とするとなっています。そこには「国政に影響を与えて、天意とともにある日本創生」とあります。
私が90年代の信者時代に徹底して教えられた、統一教会を国教にして、国政を動かしていくという考えが、今も変わっていないことがわかります。それどころか、ロードマップが着々と進んでいる状況もみえてきています。
「普通の宗教」の横には「世界平和統一家庭連合への名称変更」とあり、多くの国民に気づかれないように霊感商法のレッテルを貼られた統一教会の名前を変更して、教団の思惑通りにことが進んでいたことには背筋が凍ります。
現在の食口議員の数も資料から明らかに
「2020年議員渉外拡大と教育目標」の資料のなかでは、連携している国会議員150名の議員を「362名」にすることや、地方議員においても、現在連携している800名の議員を「1万名」にする目標も掲げられています。
何より驚くのは、現在40名以上の食口議員(統一教会の信者議員)を、300名にする目標も掲げられています。これらの食口議員が、どこの地方議会にいるのかは、はっきりはしていませんが、有権者が知らぬ間に投票することがないようにしなければなりません。そうした意味においても、今回、全国霊感商法対策弁護士連絡会が出した声明は非常に重いものだと思っています。
信者らは必死になって活動する
信者らは、国会議員や地方議員に対する目標を立てられれば、それを神様の言葉としてとらえて、地上に統一教会の国をつくるために、必死に邁進しなければなりません。しかしそれが昨今の教団の実態報道などによって、うまく進まなくなってきているゆえに、教団との決別を議決した議会に対する訴訟となって、その焦りがみえてきているといえるかもしれません。
「報道特集」(TBS)では、3月25日「旧統一教会と地方議会」を放送予定とのことですので、さらなる内部資料を通じた実態が明らかにされるものと思われます。
「統一教会信者に仕立てあげ、日本を支配していく」との言葉も明かされる
冒頭の基調報告で、霊感商法被害救済担当連絡会の事務局である渡辺博弁護士からは、自民党の政治家渉外を担当する信者から聞いた話として「統一教会は創価学会のように自ら政党を作ったりしない。創価学会が作った公明党には少数の議員しかいないから、影響力は大きくない。私たちは多数の議員を有する自民党議員に働きかけ、統一教会信者に仕立てあげ、日本を支配していく。国会議員そのものを信者にできなければ、信者を将来地方議員に立候補させることを約束させたうえで秘書として送り込んでいく」という話もありました。
陰になって、教団が政治を動かす
私が信者時代、先のような言葉を幹部や責任者から聞かされて、教団内で厳しく特定の自民党議員に投票するようにいわれたのが、1990年の第39回衆議院総選挙でした。
すでに報じられていますが、その前年の1989年7月に語られた文鮮明教祖の言葉(「文鮮明先生マルスム選集」成和出版社)にて、安倍晋三元首相の父親である、安倍晋太郎元外相が率いる安倍派を中心に国会議員との関係強化を図るようにとの話がなされたといいます。他にも「国会議員の秘書を輩出する」「自民党の安倍派などを中心にして(議員の)数を増やしていかなければならない」と語られているとのことです。
その流れが今日まで続き、教団の関連団体を使うなどして、自民党をはじめとする国会議員・地方議員との関係が深まっていったことがよくわかります。
90年の選挙で初当選した議員の一人に、その後に、教団との関係があるとされる細田博之氏もいます。当時、安倍晋太郎氏の応援もあっての当選であることが推察されますが、それ以来の旧統一教会とのつながりではないかと思います。あれから30年以上たった今、細田氏は衆議院議長ですので、教団の思惑が着々と進行している一端を示すものをみる思いがします。
教団とのつながりを隠した選挙はやめるべき
これまで旧統一教会は、教団名を名乗らず「宗教ですか?」と聞かれれば、「違います」と答えて、正体を隠した伝道や霊感商法を行ってきました。
政治の世界でも、長年、教団及び信者らが背後にいて応援していることを隠して有権者からの票を得てきました。
はからずも、安倍元首相の銃撃事件により、陰に潜んでいた教団の実態が明らかになりましたが、それが今も続いていることは充分に考えられます。
しかし正体を隠すような形で、教団の関連団体や信者らが応援して議員を当選させることだけはさせてはなりません。教団との関係を明らかにして、有権者の信を問うべきです。
教団とのつながりが過去あったとすれば、完全に断ち切ったことを有権者に示す。その逆に、つながりやバックアップを受けているのであれば、それを公言して選挙に臨む。また信者である議員ならば、堂々とこのことを話して選挙に臨むべきです。それをせずに、有権者から票を得ようとすることだけは、絶対にやめてほしいと思います。
この他にも、宗教2世の問題や韓国における統一教会事情についても、集会でも取り上げられました。それについては、改めてお伝え致します。