高校生は84.5%、小学生でも26.9%はスマホで動画を見ている…小中高校生のスマホでの動画視聴動向
スマートフォンなどの端末の普及によって、その端末を使って動画を視聴するスタイルは、それこそテレビを視聴するかのように人々の日常生活に組み込まれている。そこで実際に、どれほどの小中高校生がスマートフォンで動画を視聴しているのか、その実情を内閣府が2021年3月に報告書を発表した、「令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の公開値から確認する。
スマートフォンを持ち、それを使ってインターネットを利用している人に、動画視聴をしているかを尋ねた結果が次のグラフ。動画視聴のスタイルとしてはインターネット経由で閲覧する以外に、ファイルをダウンロードしてオフライン(インターネットに接続していない状態)で見るパターンも想定されるが、今調査ではそれにかかわる調査項目は無い。なお今件におけるスマートフォンは通常型のスマートフォンを意味し、格安スマホなどは該当しない。
スマートフォンでインターネットを利用している人のうち、小学生では6割台後半、中学生なら約8割、高校生は9割近くが動画視聴をしている。同じ学校種類なら男女差はおおよそ誤差の範囲で事実上差は無いと見てよいだろう(いくぶん女子の方が上というところか)。具体的な視聴先は調査対象とされていないので今件では不明だが、スマートフォンで視聴可能な動画サービスは山ほどあるため、視聴先には困らない。
「スマートフォンでインターネットを使っている小中高校生の6割台から9割近くが動画を見ている」。これは一つの指標ではあるが、全体像がやや分かりにくい。そこで各属性毎のスマートフォンでインターネット利用をしている人の割合を抽出し、それと合算することで、各属性の全体のうち、何%がスマートフォンで動画視聴をしているかを算出した結果が次のグラフ。例えば女子小学生は28.7%と出ているが、これは女子小学生全体の3割近くが、スマートフォンで動画を視聴していることになる。
スマートフォンを利用していなければ当然スマートフォンで動画は視聴できず、さらにスマートフォンを利用していてもインターネットへのアクセスが許可されていなければ今件定義における動画視聴は不可能。よってスマートフォンの利用状況そのものが多分に反映される形となっている。
小学生は元々スマートフォンの利用率が低いため、値そのものも低く2割台後半。中学生は5割前後、そして高校生は8割台半ば。「高校生全体の8割台半ばはスマートフォンを使って動画を視聴している」計算になる。対象となる動画サービスは多様だが、関係方面には小さからぬ驚きを覚えさせる値に違いない。
今件「動画視聴」はその頻度や視聴先は問われておらず、具体的な視聴スタイルは不明。しかし少なくとも「スマートフォンで動画」との新しい娯楽様式に関して、小中高校生の実情が把握できたのは興味深い。今後スマートフォンの普及が進むに連れて、小中学生にもこの「スマートフォンで動画」はさらに浸透していくに違いない。高校生に関しては現状ですでに「スマートフォンで動画を視聴している」のを前提として物事を考えた方がよいのかもしれない。
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※令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2020年11月5日から12月13日にかけて2020年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(困難な場合は訪問配布訪問回収法も併用。保護者は訪問配布訪問回収法が原則)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法を併用している。有効回答数は青少年が3605人(うちウェブ経由は388人)、保護者は3633人(うちウェブ経由は421人、郵送回収法は180人)。
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