もっともツイッターで盛り上がったドラマは「いだてん」だった
各連ドラの1日あたりツイート数を比較してみた
春ドラマも多くが最終回を迎えた。視聴率が低いとニュースになる「いだてん」も、第一部が昨日(6月23日)終了し、次週からは昭和の東京オリンピックを舞台にした第二部がスタートする。
筆者も毎週ツイッターを眺めながら他のファンとともにリアルタイム視聴している。視聴率が低いというが、ツイッターでは毎回熱いツイートが滝のように流れる。第一部が終わったこのタイミングで、他のドラマとその盛り上がりを比べてみようと思った。
その結果が冒頭のグラフだ。なんと!1日あたり約2万ツイートで、ダントツの1位だった。2位は日本テレビ「あなたの番です」で1.8万ツイート/日だ。それ以外に1万/日を超えるドラマはなく、「いだてん」は「あなたの番です」とともにツイッターで俄然盛り上がったドラマだとわかった。
なお、このデータはデータセクション社の分析ツールを使い、最後の放送回までの一カ月間のツイート数から算出している。分析ツールや手法によって数値は違ってくるだろうが、「いだてん」のツイート数が断然多いのは間違いないだろう。
影響力のあったニュースは低視聴率と中身の良さ
データセクション社の分析ツールでは、ツイートの広がりに影響力のあったニュースを追うことができる。「いだてん」の場合はまずその低視聴率を伝える記事が出てくる。「危険水域 大河最低更新6.7%」と題した日刊スポーツの記事がYahoo!に転載されて113万ものリーチとなった。ここで言うリーチとはツイッター上の話でPV数ではないことに留意してほしい。
一方で、「いだてん」のこれまでの大河にはない魅力に注目した記事も多い。
MANTAN WEBの「いだてん:関東大震災から驚愕“ラスト”まで怒濤の… 「胸がつまる」「すさまじい回」「全身鳥肌」 宮藤官九郎に称賛の声」と題した記事は90.7万ものリーチを獲得、週刊文春WEBの「「いだてん」は視聴率だけじゃ語れない! 中村勘九郎と綾瀬はるかにその魅力を聞いてみた」という記事も81.9万リーチとなっており、こうした記事が「いだてん」を熱く支持する視聴者をさらに熱くし、ツイッターを盛り上げてくれたと言えそうだ。
NHKの課題は世帯視聴率にはない
低視聴率を指摘する記事が目につくので、NHKがそれを悩み途中打ち切りの可能性を憂うファンもいるかもしれない。だがそんな心配はないと言っていいので安心してほしい。
まずNHKは世帯視聴率だけを見ているのではない。タイムシフト視聴率も含めた「総合視聴率」で見ていると聞く。さらに大河ドラマの場合はBSで先に放送されているので、そちらの数字も把握し評価の対象にしているそうだ。筆者の手元にあるデータでは、BSの視聴率は地上波のリアルタイム視聴の3分の1弱はある。それも加えるとずいぶん話は変わってくるだろう。
さらにNHKが気にしていることがある。数年前、NHKでは59歳以下に絞って視聴率ランキングを民放と合わせて毎週チェックしていた。100位までを挙げると、NHKの番組は3つしかランクインしていなかったという。「朝ドラ」と「あさイチ」が1位2位。そして3位は意外にも「おかあさんといっしょ」だった。他の番組は、大河ドラマも含めて100位までに入らなかったのだ。
「いだてん」はこれまでの大河同様の世帯視聴率を獲得することが使命ではないことが、ここから推測できるだろう。前に筆者はこんな記事を書いた。
「いだてん」は大河ドラマに新しい視聴者を誘う起爆剤だ~「西郷どん」との視聴データから~
宮藤官九郎の脚本により明治と昭和のオリンピックに貢献した無名の人びとを描く「いだてん」は、これまでにない大河ドラマにすることで、大河ドラマに接してこなかった視聴者を獲得するのが狙いではないか。そんなことを書いた記事だ。
その成果は、ツイッターでの盛り上がりという形で現れつつあるのだと私は思う。第二部以降の「いだてん」にますます期待している。ここまで見てきたファンの皆さんも一緒にツイッターで盛り上がっていければうれしい。