ソーシャルメディアでニュースを読んだ後の行動、その米国事情をさぐる
情報を気軽にスピーディーに取得できる道具として、ソーシャルメディアは大いに役立つ存在。RSSリーダーのように使えるだけでなく、ある情報を補完する、つながりのある関連情報もリプライなどの形で容易に取得できるからに他ならない。多くの人がソーシャルメディアをニュース取得の道具として用いている昨今において、取得した後にどのような反応をしているのだろうか。今回は米国の民間調査機関Pew Reserch Centerが2016年7月に発表した調査報告書「The Modern News Consumer」(※)をもとに、同国における実情を確認する。
次に示すのはソーシャルメディアを使ってニュースを取得している人における、ニュース取得後にどのような反応を示すか、その具体的内容を答えてもらった結果。「よくする」「時々する」「ほとんどしない」「まったくしない」(「無回答」)のうち、行動する派の前者2選択肢を積み重ねの形でグラフ化したもの。
ソーシャルメディアでニュースを確認した人のうち8割は、そのニュースの具体的内容を読むために記載されているリンクをクリックする。しばしば行う人は26%にも及ぶ。ソーシャルメディアの公式アカウントを持つ報道メディアはその多くが、記事内容の更新情報を伝え、記事そのものへの誘導を図っているが、その効果は確実にあるとの結果が出ている。
覚え書き、さらには他の人への周知拡散にもつながる「いいね」ボタンを押したり、他の人にシェアする行為も5割前後。具体的にニュースへコメントする(選択肢の文言は単に「ニュースへコメントする」で、ソーシャルメディア上の書き込みへのリプライなのか、本文記事へのコメントなのかまでは不明)人も1/3を超える。
ニュースとして取り上げられている情報に関わる自分の画像や動画を投稿して、ニュースそのものを補完したり体験を披露する人も少なからずいる。スマートフォンを所有している人は押しなべて報道記者となりうる時代だが、それが数字となって表れている。
一方で、ソーシャルメディアそのものに関わらない具体的な行動は、より多くの人が実行しているようだ。次に示すのはソーシャルメディアに限らず高頻度でインターネット上のニュースを取得している人に対し、ニュースを取得した場合にどのような行動を取るかを尋ねた結果。設問では「仮にこの2時間の間にインターネットでニュースを取得したら、どのような行動を取りますか」となっている。
誰かに直接口頭で、あるいは電話で話す人が3割でもっとも多い。次いでより詳しい情報を得るために検索をする人が17%。ソーシャルメディアにその内容を投稿する人が11%。口頭ではなく電子メールやSMSで伝える人は5%。特に何もしない人は47%。
口伝えによる情報伝達、口コミは今なおその影響力、伝播力は非常に大きく、多数の人が当たり前のように行っている行為のようだ。世の中の人全員がソーシャルメディアをフル活用しているわけでは無いが、ソーシャルメディアへの投稿が口コミのように気軽に成されるようになるのには、まだまだ浸透度合いや気軽さが足りないのだろう。
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※The Modern News Consumer
今調査は2016年2月24日から3月1日にかけて汎用調査用母集団(アメリカ合衆国全体規模のRDD方式で選別された電話番号で対応した人(18歳以上)で構成)に対して実施されたもので、データ分析用として十分な回答が得られた回答者数は2078人。国勢調査などによるウェイトバックが実施されている。なお今調査における「ニュース」とは、回答者の友人や家族が直接関与したものでは無い、出来事やイベントに関する情報と定義されている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。