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「キングオブコント2023」で決勝進出。「ゼンモンキー」が示すトリオであることの意味

中西正男芸能記者
「ゼンモンキー」の(左から)ヤザキさん、荻野さん、むらまつさん

21日にTBSテレビで生放送される「キングオブコント2023」決勝戦に出場するお笑いトリオ「ゼンモンキー」。21年には結成1年目で「四千頭身」「土佐兄弟」「Aマッソ」ら売れっ子をおさえ「お笑いABEMA CUP~ワタナベNo.1決定戦」で優勝しました。ワタナベエンターテインメントのイチオシ若手の称号を勝ち取った新星が抱く大舞台への思い。そして、荻野将太朗さん(27)、ヤザキさん(27)、むらまつさん(26)が噛みしめるトリオの意味とは。

尻に火がつく

むらまつ:初めての「キングオブコント」決勝戦ですからね。

勝ち上がるために、何か変えたことがあるかですか?そうですね、ネタは全部荻野くん任せなので、ここからは全部予想で話をしますね(笑)。

新ネタライブをあえてセーブしたことで、良い意味での余裕ができた。そういうことがあるのかなと。ま、これくらいのことは“よく見てるファン”くらいでも言えると思いますけど(笑)。

荻野:確かに新ネタライブを少し抑えたというのは、一つ意味があったと思います。新ネタライブがこれまでは月末にあって、そのために新ネタを取っておく。そんな感覚があったんです。

でも、そこを一旦リセットすることで、ストックせずどんどんネタを出していく。それによって新たなサイクルが生まれた部分はあったと思います。

あと、事務所の後輩でお笑いトリオ「えびしゃ」が出てきたのも大きいと思っています。尻に火がついたというか、さらに「やるしかない」という気持ちが込み上げてきたというか。

今までは僕らが一番後輩だったので、ある意味、負けても当然的な立場でもあったんです。逆に、勝ったらすごいと言っていただきますし。

ただ、さらに後輩が出てきたことによって、僕らも“勝って当たり前”の立場になってきた。だったら、より一層気を引き締めないといけない。その意識の変化はあったと思います。

ヤザキ:あと、これは直接ネタのことなどではないんですけど、運気をもらうというか、お会いする人が変わってきた感じはしています。「ハナコ」の岡部さんとか「霜降り明星」のせいやさんとか、チャンピオンの方々と食事に行かせてもらう機会が増えてきまして。

さらに、先日、決勝進出が発表された後、「霜降り明星」さんのラジオでせいやさんが「オレ、『ゼンモンキー』のデカい子とご飯も行ってるから」と話を出してくださいまして。せいやさんと粗品さんがラジオの中で「頑張れー!『ゼンモンキー』のこいつ!」と名前はまだ覚えてないけどというイジリをしてくださって、それも本当にありがたいことでした。

そういう先輩方からのパワーみたいなものが背中を押してくれている部分もあるのかなと思っています。

むらまつ:僕個人のことで言うと、しっかりしたお芝居の舞台に主演クラスの役で出してもらうことが今年4月にあったんです。基本的には笑いがない芝居で、コントで言うと“フリ”の部分が続くみたいな状況。“オチ”がない中で、いつもとは違う緊張感がありましたけど、正確にセリフを伝える。しっかりとストーリーを進める力みたいなものは以前よりついたのかなと思います。

そんな流れが重なっての「キングオブコント」決勝ですからね。なんとか、大きなチャンスをものにしたいなと。

ヤザキ:やっぱり「ハナコ」さんが「キングオブコント」で優勝されたのを間近で見ているので、今年僕らも優勝して、なんとかその領域に行けたらなと。

自分たちのネタを待ってくれている人たちがいる。それぞれがそれぞれの活動をしながらも、トリオが集まってネタをするとなったら全国ツアーができるくらいお客さんがいる。それがネタで食べるということでしょうし、目指したいですね。

トリオの意味

荻野:トリオというのも武器だと思っています。ネタを書く側からすると、3人いることでネタの幅はグッと広がりますし。さらに、コンビの方に比べて、舞台の支配力というか、3人いるので舞台から出せるパワーも大きい。それは感じています。

一方、弱いところがもしあるとすると、コンビだったらボケとツッコミが一目瞭然で分かりやすいですけど、トリオだと「いったい、誰がどんな立ち位置なの?」というのがパッとは分かりづらい。特に平場のトークとかになった時に、誰がどういう役割なのか、理解してもらうまでに時間がかかるというのはあるかもしれませんね。

ムラマツ:実際、役割は場所によって変えてますね。

ヤザキ:トリオを組んだ頃は、こういう取材の場ではとりあえず僕がしゃべるようにしていたんです。その間に二人に考えてもらうというか。

でも、今は二人もどんどんしゃべるようになってきたので、基本は二人に任せて、もしなかったら僕が出る。そんな立ち位置に変わってきましたね。

ムラマツ:今はこっちがベースはしゃべるようになっているとは思うんですけど、三人いる分、三つ立ち場が作れるので、僕も二人に頼っているところもあります。

今、いろいろなところでお仕事をさせてもらう機会も増える中で分かったことは、僕がね、意外とひよっちゃうんですよ(笑)。近い先輩にはどんどんしゃべれるんですけど、10年以上あいてる先輩だと急にしゃべれなくなっちゃって。

ただ、テレビ番組などではほとんど大先輩が仕切ってらっしゃいますので、実質的に僕というカードが使えなくなってしまう(笑)。

ヤザキ:そうなると、ヤザキのカードを切りまくって、なんとか態勢を立て直してもらうというパターンを取り入れています。ただ、なかなかひより方が強くて立て直しが遅い時が多々あるので、ヤザキのカードの連発になることも多いんですけど(笑)。

むらまつ:とにかく誰かがしゃべって対応する。それをやるのが三人いるのもトリオの強みだとも思うので、僕も弱点を克服しつつ(笑)、進んでいきたいと思っています。

まずは目の前の「キングオブコント」。ここでなんとか結果が出せるよう、頑張ります。

(撮影・中西正男)

■ゼンモンキー

1996年8月22日生まれで埼玉県出身の荻野将太朗、96年9月24日生まれで東京出身のヤザキ(本名・矢﨑真梧)、97年2月10日生まれで埼玉県出身のむらまつ(本名・村松雄大)が2020年に結成。ワタナベコメディスクール30期として出会い、それぞれが組んでいたコンビが同時期に解散したことがきっかけでトリオを組むことになる。ネタ作りを担当しているのは荻野。コントを主武器とし、ワタナベエンターテインメント所属の若手芸人ナンバーワンを決める「お笑いABEMA CUP 2021〜ワタナベNo.1決定戦」で優勝。10月21日にTBSテレビで生放送される「キングオブコント2023」決勝に出場する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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