【日野市】三沢の老舗豆腐店「百草食品」が火災からの再出発! 温かい支援に支えられ新たな挑戦も!
昭和45年に創業した三沢の「百草食品」。天然水と国産大豆にこだわり、昔ながらの製法で豆腐を作り続けてきた家族経営のお店です。
油揚げや厚揚げを揚げるフライヤーから出火し、工場兼店舗が全焼する火災に見舞われたのは2024年5月15日のことでした。
この悲劇に直面しながらも、家族全員が共通して持っていた思いはただひとつ──「豆腐作りをやめるわけにはいかない」。
再建の鍵となったのは「人の温かさ」
全てを失ってから約5ヶ月。2024年10月21日、ついに営業再開との知らせが届きました。
「あの豆腐がまた食べられる」「また会えたね」そんな気持ちを読者の皆さまとも分かち合いたく、新しくなった百草食品を訪れました。(取材は2024年10月28日)
百草食品の再起を支える大きな力となったのは、たくさんの人々の温かさだったと言います。
火災の日に消防団として駆けつけた地元の工務店の社長が、すぐに仮住まいを提供するなど、さまざまな形での支援が続いたのだそう。
「何かできることがあれば」と片付けを手伝ってくれる友人、クラウドファンディングを呼びかけてくれた知人、営業再開を心待ちにしていたお客様や取引先など、多くの人々が百草食品の再建を支えていました。
「頑張って。待ってるからね。」という声をたくさんもらい、「自分たちが作り続けてきた豆腐がこんなに皆さんに愛されていたんだということを、強く感じました。」と、かみしめるように言葉にしていました。
再開後、保育園や学校、取引先への納品をスタートすると、再会の喜びで声を掛けられることも多いのだと嬉しそうに話していた姿が印象的でした。
新たな百草食品として再出発──伝統を守りつつ新しい挑戦も
火災から約一ヶ月後の2024年6月19日に現地を取材した際は、火災の痛ましさが残る悲惨な状態でした。
今回の取材では、工場の前に以前と変わらぬ豆腐作りの道具たちが並んでいました。「百草食品の豆腐が本当に再開したんだ!」と嬉しさが込み上げます。
井戸水を汲み上げるポンプの損傷が思ったよりも酷く、想定外の遅れもあったそうですが、「愚直に、美味しい豆腐だけを届けたい」──代々引き継がれてきたその思いを胸に、創業当時から変わらない豆腐づくりに再び邁進していました。
併設の販売スペースは、明るいカフェ風の空間に生まれ変わり、多くの方から贈られた花々が並び、再スタートを祝っています。
昔ながらの豆腐作りを守りながらも、新しい機械の導入や製造エリアの拡張によって、生産性は高まったのだそう。
ちょっと座って休憩できるようなスペースが新設されたので、訪れるお客様がその場で楽しめる場が生まれました。
小さなお子様からお年を召した方まで、幅広い人気を誇る豆乳プリンも復活。滑らかでクリームのようなまろやかな舌触りが懐かしい!
再建中に考案! 新商品が2つ登場
再建中に開発された「おとうふケーキ(チョコレート味)」という新商品も登場していました。
絹豆腐を4割も使用しており、甘さ控えめで滑らかな口当たりに仕上がったケーキは、平飼い卵を使うなど、素材にもこだわり抜かれた逸品です。
親しみやすい「おとうふケーキ」というネーミングには、シニアのお客様や子どもたちにわかりやすいように、との思いやりが込められています。
お話を伺うと、このケーキのレシピは、仮住まいをしている工務店の社長夫人と共に考案されたとのこと。地域の絆が生んだ新商品には、温かいエピソードがいっぱい詰まっていますね。
「揚出し豆腐」という新商品は、百草食品の人気商品である厚揚げをアレンジしたもの。
ありそうでなかった「厚揚げの揚げ出し豆腐」にも思いやりが。
厚揚げを揚げているため型くずれしにくいお豆腐に加え、出汁にはゼラチンを混ぜ、持ち帰りの際の汁漏れを防ぐ工夫が施されています。
自宅でレンジで温めるだけでお店の味が楽しめる、とっても手頃で美味しい逸品。そのまま夕食の一品になるという嬉しい新商品です。
百草食品はこれからも、長年変わらぬ味と真心を大切にしながら、地域に根ざし、温かい灯を灯し続けてくれることでしょう!
百草食品
東京都日野市三沢2丁目14−11 百草食品ビル