戦国時代の築城をきっかけに市場町として栄え、今もその文化財を多く残している市内高屋町の白市地区。地元では平成５（１９９３）年より毎年、住民によって「白市歌舞伎」が上映されています。担い手の高齢化や新型コロナ禍で２度途絶えたものの、一昨年に再々復活しました。本年は来週日曜、１２月１日に開催されます。

上映は「大人歌舞伎」（小学生1名、そして中学生以上の担い手）と「子ども歌舞伎」の２部構成。本年の「子ども歌舞伎」は高屋東小、板城小の１１名の子が担い手となりました。８月から週数日のペースで練習を積み重ねております。２４日の練習を見学致しました。

監督など大人の指導者、保護者さんなど大勢の人に見られながら、子供たちは真剣に演じます。題目は「白浪五人男浜松屋店先の場」で、万引き騒動で大揉めする呉服店が舞台です。

時折監督の厳しい指導が入り、ストップややり直しで役者たちはセリフ、動作を修正していきます。

和服姿の役者たちの目つきは真剣さに溢れていて、迫力が伝わります。

全シーンが終了すると、それまで怖かった監督も和やかになり、一緒になって記念撮影。主演の男の子はＴＶ局記者のインタビューに気さくに答えていました。

その男の子は「３回目の参加です。観客として見ていて楽しそうだから自分も参加しました」と語っていました。本番では緊張もあると思いますが、ベストな演技になることを祈っています。

黒子、着付け担当などを担う大人の女性たちも、自らの役割を担う充実感に溢れています。地元の老若男女の力が結集した歌舞伎が成功裡に終わりますと共に、益々の白市の発展に寄与することを願ってやみません。

（了）

文・写真　中本祥二