【紅白】K-POPから初出場 ルセラフィムとIVEの日本人メンバーたち "韓国ではどう見られてる?"
いよいよ明日に迫った紅白歌合戦。
紅組にK-POPから3グループが入った。
LE SSERAFIM(ルセラフィム)、IVE(アイヴ)、そしてTWICE(トゥワイス)。
「韓国からの出場、多すぎ」と論争を呼んでいるようだが、3グループにはある共通点が存在する。
「日本人メンバーがいる」
今回が4度目の出場となるTWICEはすでに有名だが、初出場のLE SSERAFIMにはサクラ(宮脇咲良/鹿児島市出身)、カズハ(中村一葉/大阪府)、IVEにはレイ(直井怜/名古屋市)が所属するのだ。
韓国「スポーツ京郷のハ・ギョンホン記者は言う。
「彼女たちは韓国でデビューした日本人の『第2世代』格の存在です。第1世代はTWICEのサナ、ミナ、モモ、チェリーバレットのレミ、ROCKET PUNCHのジュリまで。2020年のデビューかどうかで分かれます。第2世代にはどういった違いがあるのかというと、韓国で長くレッスン生活を積み、K-POPのシステムにある程度溶け込んだかたちでデビューしたという点です」
何はともあれ、彼女たちはいったい韓国でどう見られているのか。初出場の2組に絞って改めてご紹介を。
両グループのさらっと概要 韓国トレンドの「ガールクラッシュ」系グループ
LE SSERAFIM(ルセラフィム)とIVE(アイヴ)。双方ともに韓国では”めちゃくちゃすごい新人グループ”という位置づけだ。
韓国では2021年秋以降のグループは「K-POPガールズグループ第4世代」と呼ばれるが、そのうち4大グループに挙げられる。
2021年12月デビューの6人組「IVE」のグループ名由来は「I HAVE」の省略形。「私たちはすでに完成形」という意味も込められているという。
2022年5月デビューの5人組「LE SSERAFIM」は、かのBTSのいるHYBE内レーベル所属。グループ名は「IM FEARLESS(私は恐れない)」のアナグラム。要は「ごちゃまぜにして新しい言葉にしました」ということ。Jリーグの「コンサドーレ札幌」の由来が「道産子オーレ」なのと同じことだ。
いずれもグループ名に「自信」「プライド」「主張」といった要素が含まれる。これは現代の韓国ガールズグループで大流行の要素「ガールクラッシュ(女性が憧れる女性)」が大いに含まれていることを意味する。このコンセプトが日本の若い世代にも共感を得ているのだ。
さらに韓国のK-POP分析サイト「K-POPレーダー」の年末特集動画「Girls On Top: 4th Gen Girl group」内で現地評論家がこう話している。
「双方、IZ*ONEのメンバーが所属しているグループ。韓国と日本に根強いファンがいる」
確かに、2018年の日韓合同オーディション番組「PRODUCE48」から選抜され、その後に合格メンバーで構成された日韓合同グループ「IZ*ONE」として活動したメンバーがそれぞれのグループに分かれて所属している。
IVE「いま韓国でもっともすごい勢い」
では、IVEは韓国ではどういった位置づけなのか。もはやBLACK PINKなど既存のトップグループに追いつこうかという勢いがある。
前述のK-POP分析サイト「K-POP RADER」の「Girls On Top: 4th Gen Girl group」のなかでも大絶賛が続いた。音楽批評家のキム・ヨンデ氏、キム・ユナ氏らがこうコメントしている。
国内のK-POPのなかではすでに「シンドローム」のレベル。デビューから1年も経っていないなか、すでに3曲ものメガヒット曲を生んでいる。メンバー各自の話題性、コアファン数の多さ、一般的な認知度すべてにおいて圧倒的。
その他、こういったコメントが続いた。
「第4世代の人気を引っ張っているグループ」
「デビューからまだ1年以内だという点に驚く」
「YouTube再生回数の国別分布では国内、そして東アジアでの人気がスゴイ」
「初統領(初等学校=小学校での大統領)というあだ名もある」
(小学生の間での影響力がかなり強いということ)
「デビュー曲と2曲めでは『私とあなたの世界観』を語っていて、ファンの数が倍増していった。3曲目で急に「ディスコナンバー」をやってファンの数がさらに爆発的に増えた印象」
今回、日本で披露するのが韓国デビュー曲の「ELEVEN」の日本バージョン。
恋に落ちた6人の少女の目線から見える多彩な世界を描く。確かにガールクラッシュらしく「私とあなたの世界観」ではあるのだが「あくまで自分が主体」という視点のものだ。
日本人メンバー「レイ」とは? "既存のK-POP日本人メンバーを超えた存在"
グループには1人、日本人メンバーが所属する。レイ(2004年2月3日生まれ)だ。
「レイにはこれまでK-POPの日本人メンバーにあまりなかった要素があります。長身、そして韓国語の発音です。日本人メンバーにもかかわらず、グループの中でビジュアルやダンスではなく、ラップを担当しているのは異例ともいえます」(韓国「スポーツ京郷」ハ・ギョンホン記者)
名古屋出身の彼女は、15歳から現地に渡ってレッスン生としての生活を始めた。確かに筆者の目から見ても「韓国語の実力が半端ない」。イメージでいうと「相撲の外国人力士が喋る日本語」のような感じ。ホントに韓国の中で揉まれて学んだ印象。ネイティブと見分けがつかない。
ルックスにもまた韓国での人気の要素だ。YouTubeでの韓国語コンテンツには美容整形外科による「顔分析」というジャンルがあり、人気を博している。そのうち「バノ大学整形外科」の専門医はこう評している。
「短くて丸い顔が可愛いイメージ。いかにも日本的な「かわいい」イメージ。とはいえ、唇がふっくらとしていてこれが大人っぽいイメージも作り出している。日本の漫画から出てきそうなキャラクター」
ルセラフィムは「ハプニングも人気に巻き込む強さ」
いっぽうのLE SSERAFIM(ルセラフィム)。このグループは韓国デビュー曲の「FEARLESS(韓国語版)」が日本のオリコンでも1位に入った実績がある。明日のオンエアではこの日本語版を歌う。
韓国ではどう見られているのか。前出の「K-POP RADER」より。
デビュー曲の「FEARLESS」はまず、韓国内のK-POPコアファンを熱狂させ、そして周辺の一般層も巻き込むバランスを非常に考えた印象。デビューしてわずか6ヶ月だが話題性は抜群。その間、いい意味でも悪い意味でも本当に"出来事"が多かった。しかしそれが彼女らの人気を押し上げていると思う。
その他、こういったコメントも。
「デビュー曲後、最初の発売1ヶ月でかなり良い結果を残した」
「YouTube再生回数を国別に見ると、韓国と日本が強い」
(なかにはアメリカや南米、東南アジアで強いグループもある)
「BTSも所属するHYBEの最初のガールズグループというだけでもデビュー前から話題性は十分」
「デビューから2曲めの『ANTIFRAGILE』は少し成績が下がったが、これは多くのグループに見られる傾向」
「2曲めを発表する前にYouTubeでドキュメンタリーを公表したが、本当にタイミングが最高だった」
確かにデビューから、メンバーの離脱、韓国音楽番組での1位獲得が正しいデータだったのかという視点、メンバーの交通事故(軽症)などの出来事があった。それらを乗り越えての人気があるのだ。
今回、日本ではデビュー曲の「FEARLESS」の日本語版を歌う。「私には恐れるものがない」という自信を綴ったものだ。
- 上は韓国語版を日本の音楽番組で歌った際の動画。下は日本語版の音源。
サクラは「抜群の認知度」カズハは「韓国で大バズリ中」
グループには2人の日本人メンバーがいる。元AKB48の宮脇咲良(1998年3月19日生まれ)は日本でも認知度の高い存在か。それは韓国でも同様だ。
「サクラはそれまでのストーリーがこの3人のなかで一番知れ渡っているメンバー。PRODUCE48への挑戦、IZ*ONEとしての活動、BTSのいるHYBEとの契約とレッスン生期間などです。韓国での成長ストーリーがコアファン以外の一般層に伝わっている。これがもっとも大きなポイントだと思います」(韓国「スポーツ京郷」ハ・ギョンホン記者)
また、ルックス面でも韓国人から見てこういった魅力があるのだという。
「異国情緒のある顔。薄い一重の目は、目尻がちょっと上がっている『ネコ目』。アゴのラインはV型に近いが、小顔なため決してアゴが長い印象は与えない。じつは鼻の横にあるホクロが顔を立体的に見せている」(YouTubeチャンネル「One Peak TV」を運営するOne Peak整形外科のオ・ジェユン院長)
いっぽうのカズハ(2003年8月9日生まれ)。
今、韓国ではこの人の人気がハンパない。オランダにバレエ留学していたところを現事務所側からスカウトされたのだという。
「カズハはなんといっても韓国で非常に人気のあるスジ(元MissA)に似ているという点から注目を集め、バレエの経験による体の柔軟性もある。LE SSERAFIMのパフォーマンスの中心になっています」(ハ・ギョンホン記者)
当然、今年5月のデビュー前は韓国で全く知られていなかった。写真と簡単なプロフィールが発表されていた程度。それがデビューショーケース(曲発表ステージ)で実物が登場した途端…「なんだこの美女は」とざわついたのだという。
それもそのはず、韓国人で高く評価されるルックスを有しているのだ。
「最初に見た時は日本人だとは思わなかった。韓国人に見えた。他のメンバーよりも顔の立体感が少ない。目が特徴的。両目の間が広い。そしてインラインの二重。この目は非常に善良で、さわやかな印象を与える。ハイティーンの代表的イメージ」(美容整形外科PSPSの専門医)
こういった日本人メンバーを含む「ガールクラッシュ」のグループたちが、日本の若い世代に支持を得たからこその今回の紅白の出場だ。
日本の老若男女が見る歌番組でどう映えるだろうか。そこもまた見どころだ。