外食と中食はどこまで利用されているのだろうか
外食は男性4割、女性5割近くが利用している
食の準備のアウトソーシングとも表現できる、外食や中食。現在の食生活にはどこまで浸透しているのだろうか。厚労省の「平成27年国民健康・栄養調査」(※)の結果から探る。
次に示すのは外食(飲食店での食事)を日常生活においてどの程度利用しているかを尋ねたもの。回答者は20歳以上の成人で、婚姻の有無、就業中か否か、世帯構成などは問われていない。成人全体としての、あるいは各年齢階層それぞれの全体的な値であることに注意。実際には就業状態などで外食の利用頻度は大きな違いを見せるのは言うまでもない。
毎日2回以上、実質的に食生活の過半数を外食に頼っている人はごく少数だが、確実にどの年齢階層にも存在する。毎日1回、例えば土日も合わせた就業者の昼食や朝食といったケースでの利用は男性の就業年齢階層では多めで10%近く、他方女性は数%に限定される。平日のお昼時における利用が想起できる週4~6回の回答率も合算すると、就業しているか否かで外食利用の頻度に大きな違いが出ることが分かる。
実際、多分が定年退職を迎える60代以降になると、男性でも外食の利用頻度は急激に下がる。また、男性における20代から30代が特に高いのは、独身回答者が多く、配偶者が調理したお弁当を持参しての昼食の機会が無いからだろう。
一般的な調査では把握がしにくい高齢層の外食事情を見ると、男性の方が利用度合いは高い。60代でも週一以上で利用している人は1/3を超えるが、女性は2割足らず。毎日外食を利用する人もゼロでは無く、確実に存在している。
各項目の回答値の中央値を用い(「毎日2回以上」は週16回利用と設定)、平均利用回数を算出した結果が次のグラフ。外食を利用しない人も合わせた平均値と、外食を利用する人のみにおける平均値を併記している。
全般的に男性の方が利用回数は多いこと、その男性においても20~30代はとりわけ多めで40代以降は減少することなどが分かる。他方、利用する人に限定すると、50代から60代の利用回数が多めなこと、女性は年齢による回数の差異がさほどないなど、興味深い結果が見受けられる。女性の場合は単に食事をするだけでなく、例えば知人を誘った上での懇談会的なものも兼ねているのかもしれない。
大いに利用されている中食
外食と比べて自由度が高く選択肢も多く、自分の調理によるプラスαも可能で、内食との組み合わせも容易なのが中食。昨今ではスーパーやコンビニが大いに注力をしているが、その動きも需要が伸びているからに他ならない。
属性に仕切り分けした上での最大値こそ外食の方が上だが、全般的な利用度合いは中食の方が多い。男女別では外食のように男性の利用頻度が高いことも無く男女でほぼ同様に、定年退職を迎えた60代以降でもそれなりに利用されており、中食が多くの人にとって食生活を支え、欠かせない存在となっていることが分かる。特に高齢層においての利用頻度が、外食と比べてかなり高く、食品スーパーやコンビニで高齢者の姿をよく見かけるようになった状況を裏付ける数字が出ているのが興味深い。
外食同様に中食の平均利用回数を算出したのが次のグラフ。
単なる平均回数も、利用者に限定した平均回数も、外食と比べて大よそ高めに出ている。男女別ではやや男性の方が多めだが外食ほどの違いは無く、また、年齢階層別の違いも大きなものとはなっていない。現役世代はもちろんだが、引退世代においても中食の存在は欠かせないものとなっていることが改めて理解できる。
やや余談となるが。調理のアウトソージングと表現できる外食や中食に関して、少なくともどちらか一方でも週2回以上、言い換えれば定期的に利用している人の割合は次の通りとなる。
男性現役世代ではほぼ半数、引退しても1/3から1/4。女性も20代は4割強、それ以降でも1/3前後、引退しても2割強が利用している。調理のアウトソージングは確実に、食生活の様式の一部として浸透していると表現できよう。
※平成27年国民健康・栄養調査の調査要綱
健康増進法に基づき実施される調査で、国民の身体の状況、栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2015年11月。今回調査分では調査実施世帯数は3507世帯で、調査方法は調査票方式。
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