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10月から始まる新型コロナワクチン定期接種 誰が対象? 費用はいくら?

倉原優呼吸器内科医
(写真:イメージマート)

10月1日から、新型コロナワクチンの定期接種が始まります。どのようなワクチンが使用され、接種費用はどのくらいかかるのでしょうか。現時点で分かっていることをお伝えします。

接種対象者は?

今年の秋冬に、自治体による新型コロナワクチンの定期接種が始まります。具体的な接種期間は、令和6年10月1日~令和7年3月31日です。

ワクチン接種には、「定期接種」と「任意接種」の2つがあります。新型コロナワクチンの定期接種においては、65歳以上の高齢者や60~64歳の基礎疾患が重度の人がその対象となりますが(表1)、それ以外の人は任意接種となります。これを書いている私も、任意接種の対象です。

表1.新型コロナワクチンの定期接種対象者(筆者作成)
表1.新型コロナワクチンの定期接種対象者(筆者作成)

接種費用は?

自己負担なしで接種できる特例臨時接種は、すでに今年3月に終了しました。

10月以降の定期接種については、自治体や医療機関によって接種費用の自己負担額が異なります。自治体のホームページなどで確認する必要があります。

定期接種の対象者の場合、1回あたりの接種費用(1万5,300円)から国の負担分を差し引いた、残り7,000円を自治体と接種を受ける人が負担することになります)。多くの自治体で2,000~4,000円程度に自己負担が抑えられています。中には、完全無料に踏み切っている自治体もあります。

図.新型コロナワクチンの接種費用(筆者作成、イラストはイラストACより使用)
図.新型コロナワクチンの接種費用(筆者作成、イラストはイラストACより使用)

いっぽう、任意接種の対象者は現時点では全額自己負担とされています。医療機関によって差がありますが、目安として1回あたり1万5,300円を想定しておくとよいでしょう(表2)。自治体のホームページは「任意接種の費用については医療機関にご確認ください」という記載で終わっていることが多いので、ご注意ください。

表2.インフルエンザ・新型コロナワクチンの接種費用目安(筆者作成)
表2.インフルエンザ・新型コロナワクチンの接種費用目安(筆者作成)

子どもの新型コロナワクチンの接種費用については、自治体が何らかの助成を出す可能性はありますが、まだ不透明な部分が多いです。

使用するワクチンは?

10月1日から使用されるのは、オミクロン株の末裔(まつえい)にあたるJN.1系統対応1価ワクチンです(表3)。当面は毎年、株の種類を見直すこととされているため、インフルエンザワクチンと同じように秋冬に接種する形になります。

表3.秋冬に接種される新型コロナワクチンの種類(筆者作成)
表3.秋冬に接種される新型コロナワクチンの種類(筆者作成)

厚生労働省によると、今年の秋冬に流通する新型コロナワクチンが3,224万回分、インフルエンザワクチンが2,734万本としています(1)。

今後、ワクチン接種をどう考えればよい?

新型コロナが流行し始めた頃、コロナ病棟では多くの入院患者さんが酸素投与を受けていました。現在と比べると、ワクチンの重要度はかなり高かったと思われます。ウイルスは変異を続け、比較的国民に浸透し、感染しても軽症で済む人が増えました。

最近外来で、「10月以降、新型コロナワクチンを接種すべきかどうか」という質問を患者さんからよくいただきます。個人的には、「これまでインフルエンザワクチンを接種していたなら検討いただく形でよい」と返しています。

定期接種の対象者は高齢者が中心ですが、そのほか基礎疾患があるハイリスクな人も、接種を検討してよいと思われます。

ただ、上述したように任意接種の枠組みだと接種費用がかなり高くなることが懸念です。天秤にかけたとき、全員に強くおすすめするとは簡単に言えなくなりました。

まとめ

10月1日から新型コロナワクチンの定期接種が開始になります。すでに過去のワクチンの効果はほぼ消失しているので、高齢者や基礎疾患がある人はご検討ください。

任意接種は高額になる見込みなので、医学的メリットと天秤にかけて個々が判断しましょう。自治体が出す助成の情報を適宜調べるようにしてください。

現場の意見としては、新型コロナはインフルエンザより肺炎を合併して入院するリスクがまだ高いため、可能ならインフルエンザワクチンより接種しやすい環境を整えてほしいところです。

(参考文献)

1) 厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部 予防接種課. 2024/25シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001298086.pdf

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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