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短期間でどう準備? 怪我人いつ復帰? 日本代表ジェイミー・ジョセフ答える。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 ワールドカップフランス大会を今秋に控えるラグビー日本代表が、6月12日、浦安合宿の初練習を実施。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。

 この日は1日複数回ある練習のうち、午前練習の終盤のみ公開。防御のシステムやタックルの技術を確認した。その後、ジョセフのほか選手3名の取材があった。浦安合宿はここから約3週間、あり、7月は宮崎合宿とその合間の対外試合でチーム作りを進める。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——本格始動。

「いいスタートが切れた。ここ何日間かはメディアやスポンサーへの対応をし、昨日のフィットネステストでは90パーセント以上の選手が各自のターゲットを達成しました。選手たちにはコミットする気持ちがあります。怪我人は何人かいますがシリアスではない。パシフィック・ネーションズカップ(などの7月以降の対外試合)に向けて自分たちのチーム作りができる」

——キャンプのテーマは。

「色々と始めるにはまだ早い。ワールドカップまでには約100日もあります。いまの目的はチームのリコネクト。またつながること。S&C部門ではパワーをつけながら、チームで確認すべきことを確認する。クラリティセッション(選手の役割を明瞭にする練習)をして、徐々に作り上げる。

(浦安では)みっつのキーポイントがある。

ひとつはフィジカルコンディション。ワールドカップまで日があるなか、ほとんどの選手が3~6週間の休息を取っている。彼らはやる気に満ちています。コーチは、選手がいつピークを迎えるべきかをプランニングしなければいけない。

ふたつ目は…。オーストラリアから素晴らしいスポットコーチを呼んでいます(ジョン・ドネヒュー)。ワールドカップで成功するのに必要なメンタリティを与えてくれる。素晴らしい経験を持っています。

最後は、自分たちのゲーム(プレースタイル)をどんどん成長させる。理解していくことが大事です」

——2019年の日本大会時は、休息期にあたる1月から合計約8か月の準備ができたが、今回は6月からの約3か月間で本番に臨みます。

「限られた日数でやるしかない。パシフィック・ネーションズカップの最終戦までの間に、自分たちにとって十分な数の練習を成し遂げられる。

(日本大会前は)スーパーラグビーで世界中を飛び回ることが長かった(2016年から日本のサンウルブズが参加)。東京、ヨハネスブルグ、シンガポール、ニュージーランド…選手たちには違う意味で忍耐力が身に付けられた」

——主将は決まっているか。

「いま決めるのは難しい。(昨秋ツアーで主将だった)坂手淳史、(ワールドカップ2大会連続主将の)リーチ マイケル、(昨春は共同主将を務める予定だった)流大、(最年長の)堀江翔太と、リーダーにふさわしい選手がたくさんいる。キャンプ2、3(週目)くらいには判断できると思います」

——センターの長田智希選手、ウイングの木田晴斗選手は初選出。

「リーグワンで一貫性を持ってプレーしてくれ、選出しました。ここからは彼らがチャンスを手にできるか。もしかしたら1度しかないかもしれない。ここを、自分から獲りに行かないといけない」

 今回の合宿では、代表選手36名のほか同候補10名中9名も参加した。

 フランカーのピーター・ラブスカフニは加わらず、右プロップの伊藤平一郎、フッカーの中村駿太、フランカーのベン・ガンター、ナンバーエイト(今回の登録上はフランカー)のテビタ・タタフ、スクラムハーフの茂野海人は、11日までにフィットネステストをおこない、現在は離脱。各自、代表から渡されたメニューで鍛えるという。

 かたや左プロップの小林賢太、フランカーの下川甲嗣、ウイングの高橋汰地、レメキ ロマノ ラヴァは、この日の練習に参加した。

 代表関係者によれば、今後、選手の入れ替えもある。候補選手の位置づけについて、藤井雄一郎ナショナルチームディレクターはこう話していた。

「彼ら(故障を抱えながら候補入りした選手)が復帰すれば(正代表と)入れ替わる可能性もある」

 ジョセフの会見中にも、故障者の多いフォワード第3列に関してやりとりがあった。

——現在故障中のラブスカフニ選手、ガンター選手、タタフ選手の復帰までのプロセスと、復帰して代表に昇格する場合のセレクションについて考えを聞かせてください。

「いまは3人ともいいコンディションではありません。ラピース(ラブスカフニ)も手術を経てリハビリの最中です。ガンターはフィットネステストに参加し、いい方向に進んでいます。テビタも同じような状態です。キャンプにいる人たちは、100パーセントの状態であるべきです。

いま、(フォワード第3列では)ファウルア・マキシが素晴らしく、所属先のスピアーズでいいプレーをしていた。福井翔大も未来を担える、能力の高い選手。彼らがしっかり練習、試合のできる機会を与えたいです。

怪我をしている3人が戻るのもいいことですし、それがあれば選手層は厚くなる。全員がハードワークしてくれて、セレクションが難しくなるのがいいと思っています」

——改めて、本番へ。

「ファイナル(決勝)へ向けたチーム作りをする。そのためにはまずクォーターファイナル(8強による決勝トーナメント、日本大会で初めて進出)へ行く。ファンの方々も期待している。十分に時間をかけて一歩ずつチーム作りをする。怪我をしない状態で前に行けるのが重要です」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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