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新型コロナウイルス流行により音楽に関する行動で変化したことの実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 新型コロナウイルス流行で音楽に関連する環境にも大きな変化が。(写真:つのだよしお/アフロ)

新型コロナウイルスの流行は社会様式にも大きな変化をもたらすこととなった。流行が沈静化しても、この変化は一時的なものではなく継続し、恒久的なものとなる可能性も高い。この流行は人々の音楽に関する行動にも大きな変化を生じさせているが、その実情はいかなるものだろうか。日本レコード協会が2021年4月に発表した「音楽メディアユーザー実態調査」(※)の最新版の結果を基に、新型コロナウイルス流行で音楽に関連した行動について増えたこと・減ったことの実情を確認する。

新型コロナウイルスの流行は社会様式に大きな変化を与えている。音楽関連の行動にも極めて大きな影響が生じている。今調査の結果でも、感染リスク忌避のためにコンサートなどが中止となり、カラオケボックス利用が避けられるなどの動きが確認できる。

↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2020年)
↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2020年)

それでは新型コロナウイルスの流行によって音楽に関係する行動でどのようなものが減り、また逆に増えたのだろうか。そもそも自分から音楽を聴こうとはしていない「無関心層」を除外した、音楽聴取者だった人に複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 新型コロナウイルス流行で増えたこと・減ったこと(新型コロナウイルス流行以前に音楽視聴者だった人限定、複数回答)(2020年)
↑ 新型コロナウイルス流行で増えたこと・減ったこと(新型コロナウイルス流行以前に音楽視聴者だった人限定、複数回答)(2020年)

まずは減ったもの。カラオケの回答者が4割近くに上りトップとなっているが、これは当然と言えば当然だろう。カラオケは三密リスクが極めて高く、代表格的なものとしてしばしば注意喚起され、営業を休止しているところも多い。似たようなポジションとして目につくことが多いコンサートやライブも中止のケースが多いことから、その入場料が減るのも納得のできる話。コンサートなどで気分が盛り上がった上で購入することも多いであろうことから、音楽関係のグッズやファンクラブの会費や音楽関係出版物の支出が減る人が多いのも納得できる。

他方、CD購入やCDレンタル、音楽ビデオ購入の支出が減ったとする人が多いのは気になるところ。これらの行動は新型コロナウイルス流行そのものは大きな影響は与えていないはず(CDレンタル店が一時的に休店する可能性はあるが)。カラオケやコンサートなどが中止になるなどで音楽と触れ合う機会が減り、音楽へのモチベーションが低下し、CDなども買おうとは思わなくなったのだろうか。あるいは新譜そのものが減っている可能性もある。

一方で新型コロナウイルス流行で増えた音楽関連の行動だが、もっとも多いのは有料配信型ライブの利用で10.5%。通常のライブやコンサートが中止になるなどで代替的に用意されたケースも多いことから、これは納得のいく結果ではある。他方、CD購入が6.9%と有料配信型ライブに続く高い値が出ているのは興味深い(減ったことでは第3位に入っているにもかかわらず)。

定額制音楽配信サービス、AmazonPrimeMusic、定額制動画配信サービスの利用が増えた人も多い。感染リスクを考慮すれば、インターネットサービスで音楽の欲求を充足しようとする選択は何ら不思議のない動きには違いない。

あくまでもこれらの動きは、単純に増えたか減ったかでしかなく、具体的にどれだけの額、割合が減ったかまでの把握はできない。しかし挙げられている選択肢に限っても、減った項目の回答値の方が増えた回答値よりもはるかに多い(単純累積値は増えたが61.6%、減ったが264.9%)ことから、音楽業界全体に対しての支出は総じて減ってしまっているという解釈はあながち的外れなものではあるまい。

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※音楽メディアユーザー実態調査

直近分は2020年12月に12歳から69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は3343人。男女別・年齢階層・地域別(都市部とそれ以外でさらに等分)でほぼ均等割り当ての上、2015年度の国勢調査結果をもとにウェイトバックを実施している。また設問の多くは過去半年間を対象に答えてもらっているため、2020年7月から12月時の動向が反映されていることになる。過去の年の調査もほぼ同じ条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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