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イクメン知事と子育てママのタウンミーティングに参加しました。三重&長野県知事の本気がすごい

治部れんげ東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授、ジャーナリスト
鈴木英敬三重県知事(左)と阿部守一長野県知事(右)

5月28日(火)午後1時30分、東京都内の日本財団で開かれた「イクメン知事と子育てママのタウンミーティング」に参加してきました。イベントの詳細はこちらです。

阿部守一長野県知事と鈴木英敬三重県知事が出席。ふたりとも子育てパパです。長野県と三重県の子育て支援策を聞いた後、会場からの質問に答えてくれました。

すごく充実していたのは、両知事が本音で話してくれたこと、そして本気が伝わってきたためだと思います。

知事、パパとして語る

まずはパパとしてのエピソード。阿部知事は、11歳の息子さんとサッカーをしていて手首を怪我したことや、息子さんが可愛くて一緒の布団にもぐりこんだら「あっち行ってよ」みたいにされて、さみしいような、子離れできていないような…という心境を語りました。うちの夫も6歳の息子とすごく仲が良いので、こういう光景は目に浮かぶようで、わかる、わかる、と思いました。

鈴木知事にはもうすぐ2歳になる息子さんがいるそうで、配布資料にある知事と息子さんのイラストが素敵でした。息子さんが「どうぞ」と譲ってくれる仕草に成長を感じる…というお話、うちも2歳児がいるので「ある、ある!」と膝を打ちました。

こんな具合にお2人とも、親として子どもを大事に思う気持ちを、同じく子どもを持つ県民と共有していることが感じ取れ、良い政策を実施しています。

長野県のすごい医療費助成

例えば長野県の充実した子どもの医療費助成。全ての自治体で所得制限なく、約半数の自治体は高校卒業まで対象にしているそうです。うらやましいなと思ったのは「森のようちえん」認定制度。自然環境を活用した多様な遊びや体験を通じて、子どもが心身ともにバランスよく成長できることを目指しているそうです。県内には全国最多16の森のようちえん関連団体があるということでした。長野が移住者に人気なのもよく分かりますし、仕事さえ都合がつけば私も移住したい…と思ったほどです。

三重県庁のパパ育休取得率は全国の10倍

三重県の取り組みで私が素晴らしいと思ったのは、男性に当事者意識を持ってもらうための工夫です。鈴木知事自身が「育児休業のようなもの」(知事は特別職で育児休業を取れないのでこのように呼んでいます)を経験。県庁で推進した結果、なんと三重県庁の男性育児休業取得率は平成25年に13.04%になったそうです。日本全国平均の10倍で快挙と言えます。もちろん、マタニティ・パタニティハラスメントの防止や支援制度の整備など、職場風土の改善にも取り組んでいます。税収がさほど増えない中、育児支援関連の支出を80%以上も増やすなど、数字で分かる成果をあげているのがすごいです。

阿部知事、鈴木知事のお話をうかがい、リーダーが腹をくくるとここまでできるんだ!と、非常に励まされる思いがしました。高齢化が進む中、選挙に勝つためには子どもより高齢者を優先したくなるような構造的な問題があります。これは先進国共通の問題で「シルバー民主主義」と呼ばれています。財政はどの自治体も厳しいです。

こういう難しい状況におかれても、次世代を支援する覚悟を持ち、決断し、実行しているリーダーがいるのは素晴らしいことですし、心から応援したいと思いました。できれば私が住んでいる東京都も、こういう知事に経営してほしいです。

5月31日(金)には、長野県松本市でイクメン知事が集まって「子育て同盟サミットinながの」が開かれるそうです。会議の様子はUstreamで配信するそうです。ぜひ見たいと思います。

東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授、ジャーナリスト

1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社で16年間、経済誌記者。2006年~07年ミシガン大学フルブライト客員研究員。2014年からフリージャーナリスト。2018年一橋大学大学院経営学修士。2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、国際女性会議WAW!国内アドバイザー、東京都男女平等参画審議会委員、豊島区男女共同参画推進会議会長など男女平等関係の公職多数。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館新書)、『ジェンダーで見るヒットドラマ』(光文社新書)などがある。

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