ネット通販を多用する米国人は実店舗を見向きもしないことが多々ある
インターネットを用いた通信販売(ネット通販、オンラインでの買い物)で調達できる商品は多種多様に及び、日常生活のほとんどをカバーできるまでとなった。ネット通販では先進国のアメリカ合衆国における、ネット通販大好きな人の行動性向を、同国の民間調査会社PewResearchCenterが2016年12月に発表した報告書「Online Shopping and E-Commerce」※から探る。
今調査の結果によると、アメリカ合衆国の成人の8割近い人が日常的にネット通販を利用している。
無論アメリカ合衆国から実店舗が消え去ったわけではなく、多数の店舗がお客の来店を待っている。それではオンラインによるネット通販を利用している人は、実店舗での商品購入にどのような認識を抱いているだろうか。ネット通販利用者に、ネット通販と実店舗購入、いずれか一つの選択を求められたらどちらを選ぶかと尋ねた結果が次のグラフ。具体的事例の想定は無いが、同条件の商品が実店舗とネット通販双方で確認できた場合と考えればよいだろう。
ネット通販利用者に限定しても、どちらかといえば実店舗での購入を選択する人は2/3近く。すぐ足を伸ばせる店か、自転車で行ける距離か、自動車で行かないと無理な距離なのか、どのような場所にある店舗かの設定は無いが、購入した時点で確実に手に入る、実物を確認できるなどのメリットは代えがたいものがある。多くの人が実店舗を選ぶのも道理は通る。
他方、ネット通販の利用頻度が高い人ほど、二者択一ではネット通販を選ぶ傾向も強くなる。週一以上で使っている人は実に6割強が「ネット通販での買い物の方が良い」と回答している。これは普段から購入している商品の傾向が、ネット通販向けであることが多いのが要因だろう(だからこそ利用頻度が高いのだろうが)。逆にネット通販の利用頻度が低い人では、実店舗を選ぶ人は8割を超える。
ネット通販の利用頻度が高い人ほど、ネット通販に傾倒している傾向は、普段の商品購入時の価格確認の動きでも見受けられる。
実店舗とネット通販価格の比較の上で購入(選択の仕方は書かれていないが、多分に安い方を選ぶのだろう)する人が多数派に違いないが、ネット通販の利用頻度が高い人ほど、実店舗での価格すら見ずにネット通販上の価格だけで購入する傾向がある。利用頻度が低い人は逆に、実店舗の価格のみを見て購入する傾向が強くなる。
今件は単純にどこで買うかのみを確認しており、具体的に何を買うかまでは聞いていない。購入商品の内容により、ネット通販の利用頻度は変わり、価格の比較や同条件における選別も変わってくる。どこで購入しても同じ内容ならば便利で安い方を選ぶのは当然であるし、実物を確認した方が良いものは実店舗で買いたくなるのも当たり前の話。
それを加味する必要はあるものの、ネット通販がより生活に浸透している人ほど、実店舗が眼中に無くなる傾向があるとの結果は興味深くもあり、また納得のいく結果には違いない。
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※Online Shopping and E-Commerce
2015年11月24日から12月21日かけてウェブかメール電子メールで調査用母体に対して行われたもので、有効回答数は4787人。ただし調査用母体はRDD方式で固定電話及び携帯電話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者を対象に選出されており、インターネット環境を持たない人には利用が可能になるツールを提供されており、その上での調査となるため、調査の回答母体は実質的にインターネット利用者限定では無く、すべての大人対象となる。