テレワーク化17.5%…新型コロナの影響による働き方の変化の実情
2020年春に始まった新型コロナウイルスの流行は、就業者の働き方にも大きな影響を与えている。実際にはどのような変化が生じているのか。新生銀行の定点観測的調査報告書「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版から、その実情を確認していく。
まずは調査対象母集団のサラリーマン(男性会社員(正社員・契約社員・派遣社員))において、就業先で新型コロナウイルス(の流行)の影響による働き方の変化があったか否かを尋ねたもの。具体的には残業減少、テレワーク化、有給取得容易、定時帰宅増加、残業増加、時差出勤、有給日数増加、時短勤務、育児休暇容易化を挙げ、それ以外の「その他」も合わせ、新型コロナウイルスの流行の影響と認識できるような働き方に関する施策が行われたか否かを尋ね、あったと答えた人の割合。
回答者のうち新入社員は入って間も無い(回答時期は4月)のため、就職してすぐに働き方の変化があったと言われても分からない、認識できない人もいるため、実際にはもう少し上乗せされるのだろうが、全体では46.0%が変化ありと回答している。企業規模別ではおおよそ規模が大きいほど変化した率が高く、中小企業では新型コロナウイルス流行への働き方に関する対応実施が難しい実情が見えてくる。
それでは具体的にどのような変化があったのか。「その他」を除いてグラフにした。
テレワーク化したとする人が38.0%、次いで残業が減ったとする人が33.3%、残業が増えたとする人が22.7%、有給が取りやすくなったとする人が22.0%、定時で帰宅できる機会が増えたとする意見が17.5%。残業が増加したとの意見に違和感を覚える人もいるかもしれないが、これは企業側がパートやアルバイトを休ませるなり、出社する人数を制限させたため、出社する人はそれらの人の代わりに作業をせざるを得なくなったからだろうか。
企業規模別ではややばらつきがあるものの、テレワーク化や時差出勤は従業員規模が大きいほど実施率が高く、定時帰宅増加や時短勤務などは従業員規模が小さいほど実施率が高いように見える。従業員規模により、手掛けられる対象に違いがあるようだ。10人以下の企業では42.9%が残業が減ったり定時帰宅が増加したとし、従業員規模別では一番大きな値が出ているのは興味深い。他方テレワーク化は500人以上の企業において半数前後が実施していることになる。
この値は新型コロナウイルスの影響による働き方の変化があった人(企業)限定での値。あったか否かの値も資料では示されているため、両者を掛け合わせることで、全体としてどれほどの割合で実施されていたのかを計算することができる。その結果が次のグラフ。たとえば全体でテレワーク化は17.5%とあるので、サラリーマン全体においてテレワークが導入されたのは17.5%ということになる。
サラリーマン全体ではテレワーク化は17.5%、残業が減ったとする意見は15.3%、残業が増えたとの意見は10.4%。
実施内容、質に違いはあるが、おおよそ企業規模が大きいほど多方面で働き方の変化があったとの意見が寄せられている。テレワーク化は企業規模による差異が大きく、5001人以上の企業では30.4%なのに対し、10人以下ではゼロ(回答者無し)。
企業側・部署や職種による事情もあるのだろうが、企業規模を問わずに適切な対応を推し進めてほしいものではある。
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※サラリーマンのお小遣い調査
直近年分となる2022年分は2022年4月11日から18日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2712人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料で多くを占める会社員は男性1252人・女性842人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て。未婚・既婚比は男性が41.8対58.2、女性は60.1対39.9。なお今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。
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