シャッター街化する日本の債券市場、これを阻止するには日銀の異次元緩和を止めるべき
10月22日の日本の債券市場は、まれにみる商いの細さとなった。業者間での現物債の取引を行っている日本相互証券で、前場に現物債の取引がゼロとなっていた。これは長期債だけでなく短期債も含めてであり、過去にシステム障害などを除いて、前場に取引量がゼロというのは、30年以上債券市場を見てきた私にも記憶にない。
結局、22日は15時あたりまでの日本相互証券で商いは300億円程度となり、後場に出合ったカレントは20年の5億、40年の15億のみ。10年債のカレント含めて、2年、5年、30年カレントは日中出合いなしとなった。
22日の債券先物の日中出来高は1.1兆円程度あり、値幅は6銭となっていた。なぜか先物は現物債がこのような状態でもそこそこ商いがある。これも不思議ではあるものの、裏を返せば、もし債券先物も完全に動きがなくなってしまうと、日本の債券市場はまさに開店休業となり、完全にシャッター街化する。
22日の債券市場が何故、異常なほど低迷していたのかといえば、いくつかの要因が絡んでいた。月曜日は週初ということもあり、会議などを行っているところも多いとみられるなど特に材料がない限り、他の曜日にくらべて相対的に商いは少ない。
この日は国債入札や決定会合などは予定されておらず、日銀の国債買入も予定されていなかった。これも商いが低迷するひとつの要因となる。膠着相場となっている債券市場にとって数少ないイベントが日銀の国債買入である。
その日銀の国債買入に絡んで、23日に日銀で「市場調節に関する懇談会」が開催される。ここで日銀の国債買入について何らかの修正が出てくるのではとの思惑が出ていた。このため動きづらくなっていた面もある。この懇談会で国債買入に関して量や日程などについての修正が出てくるのではないかとの見方が出ていた。なにせ日本の債券市場は日銀の強力な国債買入とイールドカーブコントロールによって、封じ込められてしまっているため、その細かな修正にすら気を配らなくてはいけない状態となっている。ただし、実際には懇談会において、特に新たな発表などはなかったようである。
そもそも非常時対応のはずの異常な金額の国債買入と、結果として戦時下のような長期金利の抑圧、さらには必要のないマイナス金利そのものが、日本の債券市場を機能不全状態に追い込んでいる。こちらを修正しない限りは日本の債券市場が活性化することはない。