ハゲたら家督引退…切実すぎる江戸時代の武士たちを悩ませた薄毛事情とは
突然ですが、男性の薄毛は先進国に多い傾向があることはご存知でしょうか。
ハゲ率世界ランキング上位に食い込む日本・イギリス・アメリカ・ドイツ・フランスは、どれも先進国ばかりです。
これには、何かとストレスを感じる機会も多く、食生活や生活習慣が乱れがちな現代社会が原因だとされています。
ただ、薄毛は現代人だけの悩みではないようです。
今回は、薄毛に悩まされた江戸時代の武士たちについて紹介します。
□江戸時代のハゲに対する価値観
江戸時代において、「髷(マゲ)」を結えない薄毛やハゲは恥ずべき存在でした。
当時の武士や男性の誇りである「髷」は、それほど重要なものだったのです。
髷の特徴でもある前頭部は剃り上げるためハゲていても問題ありませんでしたが、髷の要となる頭頂部から後頭部の毛量は非常に重要でした。
□ハゲ対策
ハゲとは無縁だった若者でも、年を重ねると男性ホルモンの影響で深刻な薄毛事情に悩まされる者も少なくなかったようです。
そこで、ハゲ対策の髪型として起用されたのが「丁髷(ちょんまげ)」でした。後頭部の髪を束ねて先っぽを結った髪型ですが、自身の老いを晒すようなもので恥と感じることもあったようです。
□ツルツルは人権なし…
年齢が原因でツルツルのハゲ完全体になった武士は、息子や親族に家督を譲り引退することになります。
それほど、江戸時代では「髪の毛」に対する誇りが存在したということでしょう。
ただ、若いうちからハゲてしまった「若ハゲ」に関しては、特別処置として主人や上司の許可を得れば、神(髪)アイテム「カツラ」を装着することが許されたのです。
□武士も使用したヘアエクステ「付鬢(つけびん)」
毛束を自分の髪の毛につけて自由な髪型を楽しむことができる「ヘアエクステ」。
実は江戸時代や戦国時代の武士が、そのルーツといわれる「付鬢」を編み出していました。
髷を結うためには、左右の毛量が必要であったため、ハゲが進行した武士は「付鬢」を使用して薄毛を誤魔化したのです。
この付鬢は女性の抜け毛を集めたもので、女性たちは自分の髪の毛が売れると知って日々回収していたのだとか。
いつの時代も髪に対する悩みや苦労はあったのかと思うと、武士にも親近感が湧いてきますね。
今回使用した画像は、広島県福山市にある「福山自動車時計博物館」の展示物です。気になった方は、ぜひ行ってみてください。