日本は国連常任理事国入りすべきか・日本国内の賛成派は約3/4
国連の主要機関の一つ、安全保障理事会において、大きな権限を有する常任理事国。現在は5か国がその任にあるが、日本も加わるべき、加えるべきとの話が定期的に持ち上がる。国内における賛否の実態を、2016年3月に内閣府が発表した「外交に関する世論調査」から探る。
国連の主要機関の一つである安全保障理事会は、常任理事国5か国と非常任理事国10か国から構成されている。前者はアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国で不動だが、後者は2年単位で改選が行われる。今件に絡み日本が安保理の常任理事国に加わるか否かに関して、回答者がいかなる考えを持つのかを「日本国内で」尋ねた結果が次のグラフ。直近では賛成が37.1%・どちらかといえば賛成が39.9%となり、合わせて77.0%が賛成派との結果になった。
反対派が少ないのは赤系統の面積が小さいことからも明らかだが、「特に強い意志での反対」を意味する、濃いオレンジ部分がわずか1.9%でしかないことに注目したい。賛成派はその内部では半数近くが強い意思による賛成なのに対し、反対派の強い意志での反対はその内部での2割にも満たない。
賛成派(賛成+どちらかといえば賛成)・反対派(反対+どちらかといえば反対)・分からない派に区分し、過去の調査結果の推移をグラフにしたのが次の図。
一番古い調査結果となる1994年の時点ですでに賛成派が過半数に達しているが、意思を決めかねる人も3割近く。そして年々「賛成派増加」「分からない・反対派が減少」の流れで進んでいくものの、2003年から一時的な「賛成派の減少」「反対派の増加」が生じている。これは2003年のイラク戦争、そしてその後の自衛隊による平和維持活動の影響が大きい。しかしその流れも数年で収まり、再び「賛成派の増加」で状況は推移しつつある。
調査範囲期間内では2010年でピークを迎えた「賛成派」だが、2011年には大きく減少している。これは2011年3月に発生した東日本大地震・震災に伴い、国内情勢が不安定なものとなり、「常任理事国入りを検討するのは後回し、余裕など無い」との思惑が生じた結果の動きと考えられる。しかし復興が進むに連れ、心境的に余裕も出てきたこともあり、再び「賛成派」は増加の動きを見せている。
直近2016年は「賛成派」と「反対派」双方が増加し、「分からない」の回答が減っている。ある程度確固たる意志、判断を持つ人が増加し、それぞれの意見に分かれた結果に相違ない。「反対派」の1割超えはイラク戦争に絡んで増加した2003年から2005年以降10年以上ぶりだが、昨今の国際情勢、常任理事国間の対立の日常化に伴い、厄介事を抱えるのは勘弁被る的な思惑も影響しているのかもしれない。もっとも上記グラフの通り、強い反対派の値は0.3%ポイント減っている。
今後、仮に常任理事国数の定数が増加するにしても、立候補した、あるいは推挙された国自身の意思だけで、増加分の国が決まるわけではない。さまざまな他国の思惑が絡んでくる。常任理事国、そして国連そのものの存在意義が再確認される中、今後国内世論がどのような変化を見せて行くのか、気になるところではある。
■関連記事: