380年以上続く「関の戸」深川屋陸奥大掾さんの歴史的銘菓に薫り高い伊勢茶をあわせた大人の味わい
通り道の小さなお店、幼い頃から通っていたあの味…郷愁を伴う美味しさに出会った時、少なからず「ほっとする」、すなわち安らぎに包まれるひと時と出会うのではないでしょうか。
けれども、故郷でもなく長年過ごした土地の和菓子ではなくとも、その安らぎを与えてくれるお菓子も存在するのです。
その中のひとつが、三重県亀山市に本店を構える「深川屋陸奥大掾(以下:深川屋さん)」さん。東海道五十三次の四十七番目の宿場町、関宿の重鎮ともいえる創業380年以上の老舗です。本店にもお伺いしたことがあるのですが、重厚感と歴史を湛えさながら博物館のような造りではありますが、非常に風通しの良いお店でした。
深川屋さんの銘菓は、創業時より受け継がれる和三盆糖を塗した求肥とこし餡の「関の戸」という和菓子なのですが、今の季節にこそ味わっていただきたい味があるのです。今回は深川屋さんの「お茶の香 関の戸」をご紹介。
通常の関の戸は乳白色なのですが、こちらは深い千歳緑。地元亀山市産の伊勢茶を丁寧に石臼で挽き、和三盆糖との粒を揃えるという拘りの如くしゅわりと広がるお茶と和三盆のハーモニー。仄かにひんやりとした口当たりと柔和な甘味、そして亀山のお茶特有の香りも旨味もぎゅっと凝縮された濃厚で優美な清々しさはまさに大人の嗜み。口も鼻腔も伊勢茶で満たされていきます。
また、まろやかな求肥に包まれたこし餡は、舌に染み込んでいくようなコクのある甘味ながらも、伊勢茶の薫香の妨げにならない甘さ。断面だけ見るとやや求肥は薄すぎるのではと思うかもしれませんが、全くそんなことはなく、むぎゅっとした食感だかこそしっかりと噛みしめながら全ての要素を堪能させてくれます。
一粒口にすると、思わず目を閉じて深い深呼吸をしてしまう甘露は、まさに安らぎを与えてくれる佳味。ちょっとお行儀が悪いとは承知しておりますが、私にとってずっと口の中にとどめておきたい味のひとつです。
こちらは都内を中心に、百貨店の和菓子売り場や中部国際空港で購入できるほか、お取り寄せも可能な商品です。
雄大な鈴鹿山脈の裾野に広がり、春風に柔らかな葉を小刻みに揺らす茶葉たちで満ちる大地を瞼の裏に思い描きながら、今しばらく癒しのひと時に身を委ねて。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<深川屋陸奥大掾>
公式サイト(外部リンク)
三重県亀山市関町中町387
0595-96-0008
9時30分~18時(出来上がりから売り切れまで)
定休日 木曜(祝日の場合は営業)