御殿場の市街地から少し離れた場所にある『くいしんぼ五味』さん。何年か前にお店の外観の素敵さに思い付きで立ち寄ったのですが、その美味しさに感動したお店です。

ここ数年はコロナの影響で足が遠退いてしまっていましたが、久々に訪れることができました。

イタリアのカフェのような雰囲気の外観。入口には藤が咲き、良い香りでもてなされます。

店内はガラス越しに腕を振るっているシェフが見えるようになっています。カウンター席が4席、テーブル席が7席で広々としています。

お冷と一緒に提供されたおしぼりは今治製。ここからしてこだわりを感じずにはいられません。

今回は1番人気のメニュー1日15食限定の『5種類の野菜プレート』と天使という言葉に引かれて『天使の海老と野菜のクリームソース』、『シナモンティー』を注文しました。

『5種類の野菜プレート（￥1350）』は週替わりで内容が違うそうです。
プレートと一緒に、5種類のお料理の名称が書かれたメモと一緒に説明をしてくれます。

まず、『新鮮地元の季節の温野菜』はその名の通り地元で収穫された新鮮な野菜を使ったサラダです。
雨が降り肌寒い日でしたが、温野菜のサラダは体を冷やすことがありません。
茹でてあるのに新鮮な野菜の歯ごたえは残っています。
カブ、カリフラワー、ブロッコリー、ラディッシュ、エンドウ、パプリカなどに味を潰さない程度の少量のドレッシングがかかっていました。

この時期に良く作るメニューの１つ『たけのこご飯』は、数をこなしている分、味なら負けないと思っていたのですが…悔しいですが負けを認めます。
炊き込みご飯なのにふんわりパラパラ、ぺとっとした感じがないのが不思議で、シェフに尋ねると油揚げとたけのこご飯と具を別々に調理して、提供の前に混ぜ合わせ仕上げているのだそう。

じゃがいものぱさぱさした感じが少し苦手なので『新じゃがのオムレツ』はあまり期待しないで口にしましたが、じゃがいもダイレクトなぱさぱさな感じがなく、ほくほくでマッシュポテトのように処理されているのか、蒸かし方にコツがあるのか、とてもおいしくキッシュのような重量感があり食べ応えのある1品でした。

『タケノコとパプリカの生春巻き』はたけのこのえぐさパプリカの苦みが一切なく、旨味だけがしっかりと残っています。それでいて歯ごたえはシャキシャキしていて新鮮さが分かりました。

大好きな１品『新玉ねぎのフリット』は、どこで食べても衣から玉ねぎが抜け出してしまい別体になってしまうのですが玉ねぎと衣が一体化していて、ほんのり効いたチーズがアクセントになっていて、もっと食べたくなる味でした。一品料理で『新玉ねぎのフリット』を作って欲しいくらい！

この透明なリンゴゼリーのようにも見える1品は、『トマトジュース』だそう。
コーヒーフィルターで一晩掛けて抽出したというトマトジュースは驚くほど濃縮で甘く、トマトを丸かじりするよりよっぽどトマトでした。（変な表現ですが、トマト以上にトマトなんです！）

『天使の海老と野菜のクリームソース（￥1600）』はアルデンテに濃い目のクリームソースが良く絡み、食べ応えのある味。
丁寧にした処理された海老は、ぷりぷりでくさみもありません。
パンを付けてくれるのですが、残ったクリームソースをつけて食べると、これだけでも御馳走感があります。

ポットで提供してくれる『シナモンティー（￥580）』は2杯は充分に飲める量です。
頼めばカップも2客用意してもらえますので、シェアすれば割安でおいしいお茶が楽しめます。
カップに注ぐと、ふんわりとシナモンの良い香りが広がります。
シナモンティと言うと、シナモンのスティックを提供してくれるお店が多いのですが、その場合紅茶をポットで提供してもらっても、１杯目でシナモンスティックの香りが抽出されてしまい、２杯目は薄らな香りしか楽しめないので、茶葉に混ぜられていることで均一に味を楽しめることができ、嬉しいです。

『くいしんぼ五味』は創業して25年。
元々は御殿場の駅裏辺りにあり、2002年にこちらに移転したのだそう。当時は森の中の一軒家のような雰囲気だったそうです。

「御殿場からは綺麗に富士山が見えます。でも富士山の表情は毎日違う。同じようにその日の素材を見て、一番おいしく食べられるかを考えて調理している」と話してくださったシェフ。

素材もできるだけ自分の目で見て自分で決めるという強いこだわりを持っているからこそ成し得る美味なのだと思うと、今食べたばかりなのに、またすぐに「くいしんぼ五味」さんの味を堪能したくなるのは必然です。