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新型コロナウイルス流行により音楽に関する行動で変化したことの実情をさぐる(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
新型コロナウイルス流行で音楽に関連する環境にも大きな変化が(写真:イメージマート)

新型コロナウイルスの流行は社会様式にも大きな変化をもたらすこととなった。流行が沈静化しても、この変化は一時的なものではなく継続し、恒久的なものとなる可能性も高い。この流行は人々の音楽に関する行動にも大きな変化を生じさせているが、その実情はいかなるものだろうか。日本レコード協会が2022年4月に発表した「音楽メディアユーザー実態調査」(※)の最新版の結果を基に、新型コロナウイルスの流行で音楽視聴時間に変化が生じたか否かなどについて、その実情を確認する。

最初に示すのは、新型コロナウイルスの流行前後で音楽の視聴時間にどのような変化が生じたかについて尋ねた結果。全体では12.6%が増加、18.4%が減少となり、減少した人の方が多い結果となった。

↑ 新型コロナウイルス流行前後における音楽視聴時間の変化(属性別)(2021年)
↑ 新型コロナウイルス流行前後における音楽視聴時間の変化(属性別)(2021年)

新型コロナウイルスの流行によって在宅時間が増えた人は多いはずだが、そうなると自宅で音楽を聴く時間も増えるはず。何かをしながら音楽を聴くケースも多々あるだろう。にもかかわらず、むしろ音楽を視聴する時間が減ったとする人の方が多いとの結果が出てしまっている。あるいは普段は通勤・通学時間に音楽を聴いていて、その機会が減ったからなのだろうか。

男女別では女性の方が、年齢階層別では若年層の方が、音楽視聴時間が減ったとする意見が多くなっている。ただし同時に、増えたとする意見も多い。男性は12~19歳と20代、女性では12~19歳は、増えた人の方が減った人よりも多い。そしておおよそ歳を取るに連れて、増えたとする意見は減っていく。通勤ではなく、通学で音楽を聴いている人が多く、その機会が減ったために音楽視聴の時間も減ってしまったケースが多いのだろう。

それでは時間ではなく、お金の使い方についてはどうだろうか。

↑ 新型コロナウイルス流行前後における音楽関連などへのお金の使い方の変化(2021年)
↑ 新型コロナウイルス流行前後における音楽関連などへのお金の使い方の変化(2021年)

時間以上に明確な形で、増えた人より減った人の方が多い結果となっている。音楽に限らず、エンタメ系全般への支出が減っているのが実情。具体的な金額、減少度合いまでは尋ねられていないようだが、どれほど減ってしまったのかは気になるところ。

新型コロナウイルスの流行で音楽視聴時間が減った人に、なぜ減ったのかを具体的に尋ねたところ、外出機会が減ったからとする意見が最多数を占める形となった。

↑ 新型コロナウイルス流行後に音楽視聴時間が減った理由(減った人限定、複数回答)(2021年)
↑ 新型コロナウイルス流行後に音楽視聴時間が減った理由(減った人限定、複数回答)(2021年)

「出かける機会が減った」が29.6%だが、次いで意外にも「音楽以外の趣味などに費やす時間が増えた」とする意見が22.9%、さらに「音楽を聴く時間が取れなくなった」が22.6%で続く。「出かける機会が減った」は新型コロナウイルスの流行が直接関係する理由で間違いないが、「音楽以外の趣味などに費やす時間が増えた」や「音楽を聴く時間が取れなくなった」は直接関係するようには思えない。新型コロナウイルス流行後で逆に忙しくなり、音楽に時間を割けなくなったということだろうか。あるいは「音楽に対する気持ちが冷めた」とも深い関係があるが、在宅時間が増えたことで以前とは関心事が変わり、相対的に音楽への重要度が減り、今までのような時間を割くほどのものではないという判断をするようになったのかもしれない。

「通勤、通学の時間が減った」は11.8%。挙げられている具体的な選択肢の中では一番低い値となっている。通勤や通学中に音楽を聴いていたので、その機会が減ったから音楽視聴時間が減ったとする人は、それほど多くはないようである。

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※音楽メディアユーザー実態調査

直近分は2021年12月に12歳から69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は6110人。男女別・年齢階層・地域別(都市部とそれ以外でさらに等分)でほぼ均等割り当ての上、2020年度の国勢調査結果をベースにウェイトバックを実施している。また設問の多くは過去半年間を対象に答えてもらっているため、2021年7月から12月時の動向が反映されていることになる。過去の年の調査もほぼ同じ条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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