自分はたばこを吸っていないのに!?…受動喫煙の現状を探る(2014年)
喫煙には当事者が直接たばこを吸う以外に、周辺環境によって当事者の意図することなくたばこの煙を吸ってしまう機会がある。たばこの吸い口側では無く、火がついている側からの煙「副流煙」、さらには喫煙者が吐き出す「呼出煙」を吸い込んでしまい、結果的に喫煙状態となるもので、これを受動喫煙と呼んでいる。昨今では公的機関だけでなく飲食店を中心に不特定多数が集まる、閉じた空間で禁煙化が進んでいるが、これは概してこの受動喫煙を嫌う利用者が増えているからに他ならない。
厚生労働省が2014年12月に発表した「国民健康・栄養調査」の最新版では、20歳以上に限定をしているものの、受動喫煙の状況に関しても調べを行っている。現在習慣的に喫煙している人「以外」、つまり非喫煙者で、過去一か月の間に受動喫煙の機会があったか否かを場所別に尋ねた結果が次のグラフ。家庭では毎日、それ以外では足を運んだ経験がある人のうち、月1以上で機会があった人の割合を示している。
調査実施年がまちまちで、しかもいくつかの施設では直近の2013年からの調査のため、それ以前の調査年部分は空欄となっている。家庭や職場など繰返し同じ場所に足を運ぶ場所では漸減する傾向があるものの、学校や飲食店、行政機関などでは前回調査からわずかながら増加する動きを示している。
この動きは誤差の範囲とも解釈できるが、少なくとも減少はしていないことに違いは無い。各公的機関や不特定多数が集まる場所では分煙・禁煙化が進んでいるものの、まだ十分とは言い難いようだ。少なくとも嫌煙家サイドの視点からは、そのように見える値に違いない。また今調査は20歳以上を対象としているが、子供も足を運ぶ場所においては、同程度の受動喫煙を経験していると見て問題はなかろう。
同調査では防止対策の希望に関する調査も行われているが、非喫煙者においては特に、「飲食店」「路上」「子供が利用する屋外空間」(公園や通学路など)における受動喫煙の防止対策(禁煙・分煙など)の推進を望む声が大きい。足を運ぶ機会が多いこと、子供へのリスクを考慮した上での反応と考えれば道理は通るというものだ。
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