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ジェイムズウェッブが未知の構造を新発見!その正体は「最遠の星団」だった

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「JWSTが解明した最深宇宙の新構造の正体」というテーマで解説していきたいと思います。

スウェーデンのストックホルム大学などの研究チームは、「Cosmic Gems arc」と呼ばれる天体をジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の圧倒的な分解能で観測しました。

その結果、これまでは知られていなかった未知の構造の存在が明らかになり、その正体が判明したと2024年6月に研究成果を公表しています。

●Cosmic Gems arcとは?

ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡による観測プロジェクト「RELICS」は2018年、「SPT0615-JD1」という銀河(別名Cosmic Gems arc; 宇宙宝石の円弧)を発見しました。

現在の地球で観測できるこの銀河からの光は、宇宙がおよそ4億6000万歳だった頃、つまり今から約133億年前に放った光です。

赤方偏移zの値は10.2となります。

これほど超遠方の初期銀河は通常であれば検出困難ですが、「重力レンズ効果」のおかげで長辺が約100倍にも拡大され、その姿を詳細に観測することができています。

重力レンズ効果とは、手前にある巨大な質量を持つ天体の重力により、その背後の天体からやってきた光の進路が歪められ、本来あり得ない方向から地球に到来することで、背後の天体が歪んだり、増光して見えたりする現象です。

Cosmic Gems arcの場合、「SPT-CL J0615-5746」という手前にある銀河団の強大な重力により、重力レンズ効果が起きています。

●arc内に最遠の星団を新発見

スウェーデンのストックホルム大学などの研究チームは、Cosmic Gems arcをジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の圧倒的な分解能で再観測した結果、これまで知られていなかった未知の輝点の存在が明らかになり、さらにこれらは5つの若い星団であることが新たに判明したと、2024年6月に公表しています。

なお上部にあるのはより手前にある別の銀河です。

これらの輝点の正体は観測史上最遠の星団であり、天の川銀河の周囲にもいくつも存在する球状星団の祖先であると考えられています。

最遠の星団は、天の川銀河の球状星団より質量が大きく、恒星の密度が非常に高いことがわかっています。

さらにこれらの星団は、それらが属する銀河とその周囲の天体から放射される紫外線のうち、大部分を生み出していることがわかっています。

詳細は後述しますが、これは宇宙再電離時代において、これらの星団が重要な役割を果たしていたことを示唆しています。

●新発見の意義

この最遠の星団の新発見により、球状星団形成の謎の解明に繋がる可能性があります。

球状星団は実はそれらがいつ、どのように形成されたのか未だにわかっていない部分が多いのです。

また新発見の星団の非常に高い恒星密度は、銀河や超大質量ブラックホールの形成過程の解明にも繋がる可能性があります。

なぜなら星団内部の密度が高いと、恒星やブラックホールの衝突・合体現象が多発することを意味しており、このような現象から銀河や大質量のブラックホールが形成される可能性があるためです。

そして新発見は、宇宙の再電離時代に近付く可能性がある、非常に意義深い発見であると言えます。

ビッグバン直後の宇宙では非常に高温のため、ガスは原子核と電子が別々で行動する「電離状態」にありましたが、宇宙膨張とともに温度が下がり、それらが結びついて中性ガスとなりました。

その後恒星や銀河が形成され、それらから放射された強烈な紫外線を受けることで、宇宙年齢10億年頃までに中性ガスは再び電離しました。

このようなことが起きた時代を「宇宙の再電離時代」と呼びます。

新発見の星団は、それらが属する銀河とその周囲から放射される紫外線の大部分を生み出しているため、強力な紫外線により宇宙の再電離に寄与していることを示唆しています。

今回の新発見は、原始的な球状星団が再電離の時代に既に形成されたことを示す直接的な証拠となり、銀河や星団が宇宙を再電離させたプロセスを詳細に理解するための大きな一歩と言えるでしょう。

https://www.nature.com/articles/s41586-024-07703-7
https://esawebb.org/news/weic2418/
https://www.waseda.jp/inst/research/news/77941
https://www.space.com/cosmic-gems-star-cluster-jwst
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13633_cluster
https://hubblesite.org/contents/media/images/2018/02/4099-Image.html
サムネイルCredit: ESA/Webb, NASA & CSA, L. Bradley (STScI), A. Adamo (Stockholm University) and the Cosmic Spring collaboration

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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