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ハコスカからR35まで!20回目のNISMO FESTIVALには歴代レーシングGT-Rが総出演。

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
NISMO FESTIVALに出演する歴代GT-RのGT500マシン

日産ニスモのレーシングカーが集うイベント「NISMO FESTIVAL(ニスモフェスティバル)」が今年も11月26日(日)に富士スピードウェイ(静岡県)で開催される。シーズンオフのファン感謝イベントとしてスタートし、なんと今年で20回目。すっかり年末恒例になった「NISMO FESTIVAL」の魅力をご紹介しよう。

ファン感謝イベントの先駆け

日産自動車のモータースポーツ活動を担うNISMO(ニスモ/ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社)が主催するイベント「NISMO FESTIVAL」は毎年、多くのモータースポーツファンやスカイライン、シルビアなどの歴代日産車のファンが朝早くから来場し、熱狂的な雰囲気に包まれるイベントとして知られている。

NISMO FESTIVAL
NISMO FESTIVAL

その第1回目が富士スピードウェイで開催されたのは1997年のことだ。今でこそ、ホンダが「Honda Racing Thanks Day」を、トヨタが「Toyota GAZOO Racing Festival」を開催し、国内3大メーカーによる年末イベントは恒例行事となっているが、97年当時はこういったメーカー色が濃いモータースポーツイベントはほとんど存在しなかった。そもそも11月末から12月という冬の寒い時期にサーキットでイベントを実施することは非現実的だったに違いない。

「NISMO FESTIVAL」は他に先駆けて97年に開催されたのだが、実はこのイベントは日産自動車本体ではなく、同社のモータースポーツ・ワークス活動を担うニスモの社員たちが企画して始まった。当時、「ル・マン24時間レース」(フランス)に日産ワークスチームとして参戦していたニスモは1996年のル・マンでフランスへの現地観戦ツアーを実施。この時の参加者が中心となって私設の「日産応援団」が結成された。現在もSUPER GTのサーキットで巨大な旗を振り、「Go Go Nissan!」とエールを送るファンたちだ。

1997年のル・マン出場車「ニッサンR390 GT1」
1997年のル・マン出場車「ニッサンR390 GT1」

この時代において自動車メーカーのレース活動は競技を通じた技術開発に主眼が置かれるケースが多く、自動車メーカーのワークスチームと言えば、部外者を寄せ付けない聖域的な雰囲気があった。メーカーのプロモーションも一方的なワンウェイの宣伝活動が中心だった。それに対し日産は「CLUB LE MANS(クラブ・ル・マン)」というファンクラブを作り、ファンとの交流を行った。ファンにとっても応援するメーカーの選手やチームスタッフと交流できる画期的なことだったのだ。その双方向のコミュニケーションの最前線に立っていたニスモの社員たちが1997年に自ら企画した「お客様感謝デー」的なファン交流イベントが「NISMO FESTIVAL」である。

GT-R祭りになるのには意味がある

富士スピードウェイを貸し切り、長谷見昌弘、星野一義ら当時のトップドライバーが出演した1回目の「NISMO FESTIVAL」(97年)。その年のル・マン出場マシン「ニッサンR390 GT1」の走行が目玉となったが、他にも日産が記念車として所有するスカイラインGT-Rや懐かしいグループCカーがサーキットを駆け抜けた。

当時、こういった懐かしいレーシングカーが走るイベントはまだ珍しく、モータースポーツファンに大好評だったという。2回目以降も懐かしいマシンの走行は恒例となり、「NISMO FESTIVAL」は貴重なレーシングカーに出会えるイベントとして年々認知度を高めていった。

星野一義が乗るカルソニック・スカイライン(R32GT-R、グループA仕様)
星野一義が乗るカルソニック・スカイライン(R32GT-R、グループA仕様)

その20回目となる今年、人気の高い80年代後半のグループCカーなどは展示のみ。今回主役となるのは「スカイラインGT-R」と「ニッサンGT-R」である。

日産のレース活動で脈々と受け継がれている技術、DNAが込められた車はGT-Rであり、20回記念はGT-Rの魅力にこれまで以上にフォーカスを当てる企画になっている。また、ファンとの交流という意味でも、その原点となったのはスカイラインGT-R(R33)ベースの1996年のル・マン24時間レース出場車「NISMO GT-R LM」だ。そして、現在、ニスモが日産のワークス活動としてSUPER GTや海外のレースで走らせているのも「ニッサンGT-R」。GT-Rには三世代に渡ってその魅力に取り憑かれたファンが存在する。世代を超えた日産ファン、ニスモファン、GT-Rファン、全てのモータースポーツファンとの交流。20回目の「NISMO FESTIVAL」にはそんな思いが込められている。

1996年のルマンに挑戦したNISMO GT-R LM
1996年のルマンに挑戦したNISMO GT-R LM

今年は「ハコスカ」「ケンメリ」と呼ばれる初期のGT-Rから、R32スカイラインGT-RのグループA(全日本ツーリングカー選手権)、R33スカイラインGT-Rのル・マンカー、そしてR34、R35の全日本GT選手権、SUPER GT仕様など総勢16台のGT-Rが走行する「CRAFT SPORTS presents RACING GT-R HERITAGE RUN」がメインイベントとして開催。世代を超えたGT-Rが一斉に走るシーンはここでしか見られないものになるだろう。

歴代GT-Rが共演するRACING GT-R HERITAGE RUN
歴代GT-Rが共演するRACING GT-R HERITAGE RUN

メーカーの枠を超えたゲストが登場

今回は20回記念ということで名レーサーたちがゲスト出演する。1960年代から70年代まで49連勝を含む52勝の金字塔を打ち立てた「スカイライン2000GT-R」のワークスドライバーだった高橋国光、ドリキンの愛称で知られ「R32 スカイラインGT-R」で全日本ツーリングカー選手権を戦った土屋圭市。現在はホンダ系レーシングチームの監督として活躍する2人だが、GT-Rの歴史を語る上で欠かせないレーサーとして思い出のGT-Rをドライブする。

また、名チューナーとして名を馳せたプライベーター「HKSレーシング」のドライバー萩原修、全日本GT選手権のドライバーとしてR33、R34GT-Rを駆りGT500王者に輝いたフランス人、エリック・コマスも久しぶりに「NISMO FESTIVAL」に出演することになった。当時のドライバーが当時のマシンをドライブする。長年のモータースポーツ活動の中で、その歴史を作り上げてきたクルマ、ドライバーを大切にしてきた日産、ニスモらしいゲストラインナップとコダワリだ。

ハコスカからケンメリ、ル・マン仕様から現役のGT500までGT-Rが会場内で見られることになるだろう。
ハコスカからケンメリ、ル・マン仕様から現役のGT500までGT-Rが会場内で見られることになるだろう。

「NISMO FESTIVAL」は今年で20回目を迎え、今や3万人の観客を集めるビッグイベントに成長しているが、実はレースの現場などに携わるニスモの社員が企画し、社員総出でイベントを作り上げるスタイルはずっと変わっていない。これを20年続けてきたことは驚くべきことである。日産のワークスチームであるニスモがファンにダイレクトに思いを伝える「NISMO FESTIVAL」。このイベントは混じりっ気なし、まさに純度100%のモータースポーツイベントと言えるだろう。

【NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY supported by MOTUL】

開催日時:2017年11月26日(日)

場所:富士スピードウェイ

公式ホームページ

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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