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英国ソールズベリー大聖堂の石像:観光客が「歩きスマホ」でぶつかり危険なので石像を移動

佐藤仁学術研究員・著述家

イギリス南部にあるソールズベリー大聖堂の庭にある石の彫刻が2016年2月16日、違う場所に移された。道を跨ぐようなアーチ状の約6メートルの石像で「The Kiss」と呼ばれている。

移転の理由は大聖堂を訪問してくる人の多くが「歩きスマホ」をして石像にぶつかりそうになるからだ。すでに3人が「歩きスマホ」で石像にぶつかっている。大事には至っていないようだが「歩きスマホ」でぶつかりそうになる人が後を絶えないので、石像を違う場所に移すことを決定した。

イギリスで最長の123メートルの尖塔がある大聖堂なのに「歩きスマホ」

石像を造った彫刻家の Sophie Ryder氏は『ソールズベリー大聖堂に来る観光客がまさか自分が作った石像に「歩きスマホ」でぶつかるなんて、嘘だ』と思って、実際にソールズベリー大聖堂の庭で観光客を見ていたら、本当に多くの人が「歩きスマホ」をしていて、石像にぶつかりそうになっていたのに驚いたそうだ。

石像の周りで遊ぶ子どもと比べると石像の大きさがわかる
石像の周りで遊ぶ子どもと比べると石像の大きさがわかる

石像の周りで遊ぶ子どもと比べると石像の大きさがわかるだろうが、約6メートルと非常に大きく遠くからでも目立つので「歩きスマホ」をしていても気が付くのではと思うが「歩きスマホ」では視覚が狭くなっており、スマートフォンの画面に集中しているので、6メートルもある巨大な石像にも気が付かないでぶつかるのだ。たしかに「歩きスマホ」をしていると、1.5mまで接近しないと対象物を認知することはできない。それにしても6メートルもある彫像だから、かなり遠くからも目に入るから注意もできそうだが、それでも「歩きスマホ」でぶつかってしまう。

ソールズベリー大聖堂はイギリスで最長の123メートルの尖塔があり、外観がとても素敵な大聖堂なのだが、観光客らはその風景を楽しむことなく「歩きスマホ」をしながら歩いていて、大聖堂の外観を見てない人が多かった。

「歩きスマホ」は事故やトラブルのもと

日本でも駅や道路、観光地でも「歩きスマホ」をしている人がたくさんいる。石像や柱などにぶつかって自分が怪我をするのは自業自得であろうが、他人や歴史的な建造物にぶつかると事故やトラブルの原因にもなるし、加害者にもなりかねない。

「歩きスマホ」は日本だけでなく、世界中のあらゆる国で問題になっている。観光地で撮影した写真をSNSにでもアップしていたのだろうか。せっかくソールズベリー大聖堂にまで行ったのだからスマートフォンの画面ばかりに集中していないで、大聖堂の素敵な外観を楽しめばよいのに。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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